山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

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○山本太郎君 ありがとうございます。
先生方、大変勉強になるお話をありがとうございました。自由党の共同代表、山本太郎です。
本日は、参議院の先輩方からいろんなお話が出ましたけれども、私からは、安全保障という入口から、自由・社民の会派、希望の会を代表して、今日はテロについてお聞きしたいと思います。もし専門外であったり御所見がない場合にはお答えいただかなくても結構なんですけれども、もし一般論としてお話ができるということであるならばお話しください。よろしくお願いします。
まずは、根本的な部分から。
テロってどうして生まれるとお思いになりますか。

○委員長(山本一太君) どなたにお聞きになりますか。

○山本太郎君 失礼しました。宮家先生から順番にお三人にお話を伺いたいです。

○委員長(山本一太君) それでは、まず宮家公述人。

○公述人(宮家邦彦君) 突然の御質問ですので、非常にどうお答えしていいか分からないのですが、学術的にはお答えできませんので、私の経験から申し上げましょう。
テロというのは、基本的に戦闘行為ではないですから、要するに、非戦闘員が、軍隊はテロやりませんから、非戦闘員が武装するなりなんなりして、そして何らかの政治的目的を達するために、恐怖を与え、そしていろいろな事件を起こすものだと思っています。私は中東の方しか分かりません、ほかの地域のテロのことは分かりませんが、基本的にテロリストは卑劣です。そして極めて残忍で、一番弱いところを狙い、そして最も、テロというのはテラー、恐怖ですから、最大の恐怖を最も弱い人たちに与えることで最大の政治的効果を得ようとする卑劣な人たちだと思っています。

○公述人(山口昇君) テロといいますと、今、人ごとのように我々の間で議論をしてしまいますけれども、これは実は日本にとっても結構歴史の長い話でありまして、大正時代、昭和初期、テロというと、大体羽織はかまを着た物騒なものを持った人たちが政治家を脅かしに行くというのがテロでありましたし、一九七〇年代を思い出しますと、それこそ大手町で爆弾が爆発したり、あるいは日本人がイスラエルまで出ていってテロ行為をやるということもあったわけであります。
そういうことを考えますと、テロの原因というのはいろいろありますけれども、思想的な不満、あるいは貧困、貧困だけではなくて、不平等、あるいは貧困の上に抑圧されているというようなことが根っこにあって、その上にテロをやるにはお金が要りますから、そのお金を供給する側、それが例えば麻薬でお金をつくってテロ集団にそのお金を供給するというような、いろんなものの連鎖がありますので、これからテロと我々が闘っていくというのは非常に複雑な作業だというふうに思います。

○公述人(小此木政夫君) テロと呼ばれるものにも随分いろんな形態があろうかと思うんですね。歴史的にも太古の昔からあったんじゃないかと思いますが、つまり政治的な目的があって、暴力によって、それを、よってでも達成する、単独ででも達成するといって、私なんかは朝鮮半島の研究をやってきましたから随分そういうものを目にしています。つまり、独立運動の志士と言われる人たちというのはかなりの部分テロリストですね。朝鮮の独立というもののために日本の軍人、政治家を暗殺するというようなことも多々あったわけですから。
ただ、現在行われているのはそんな高尚な話ではなくて、計画的、組織的に大規模にということになると、これは昔の古典的なテロの定義とは随分違ってくるんじゃないかというふうに思います。

○山本太郎君 ありがとうございます。
安倍総理が東京オリンピックのために共謀罪、つまりはテロ等準備罪が必要だと何度も発言されているんですね。テロから国を守るためにどういうことが必要だと先生方はお思いになられますか。また同じスタイルでお願いします。

○公述人(宮家邦彦君) 私が二度目のイラク勤務を終えて帰ってきたとき、それからその前にアメリカから帰ってきたときも特に思うんですけれども、日本は本当に平和な国なんだなとつくづく思うわけです。
例えば、自動車爆弾がやってきてどうやって止めるんだろうと。日本は本当に簡易なものしかない。あれで止められるのかどうかはやりませんよ、私はやったことありませんから分かりませんが、あんなもので大丈夫かなと。イラクは完全に要塞化している、これはやり過ぎだとしても、アメリカでもホワイトハウスの周辺が行くたびにどんどんどんどん厳しい警備になっていて、本当に守ろうと思ったら、自動車爆弾を守ろうと思ったらというところまで行ってしまうわけですね。
それに比べますと、日本は、まあそれは警察の努力、それから国民の皆様の御協力があったからだと思いますが、そして元々島国であって守りやすかったということもあるでしょう。武器が入ってきにくいということもあったでしょう。しかし、余りにも、浮世離れとは言いませんが、世界の、世界レベルのテロというのがあるのかどうか分かりませんけれども、中東等で経験したもの、アメリカ等で経験したものに比べれば、はるかにいい状況に日本があると思うんです。しかし、それは一昔前までの話でありまして、残念ながらテロリストというのは、先ほど申し上げたとおり、一番弱いところをもう最大の恐怖を与えるために行動を起こすわけでありますので、そのときに彼らにルールはないんです。
そう考えますと、総理がどのように最近おっしゃっているか存じませんけれども、一般論として考えたらば、人の集まるところ、そしてこれまで警備が弱いところ、そして誰もこんなことは起きないだろうと思っているところ、そこを狙うに決まっているんです。ですから、その意味では、二〇二〇年のオリンピックのときに、そのようなこと、今私が申し上げたようなことを考えて対策を取るのは当然だと思います。

○公述人(山口昇君) ありがとうございます。
大変難しいことだとは思うんですが、まずざっくりと環境を申しますと、イスラム過激派のテロリストという観点でいうと、地理的に離れているというところと、それから、日本が比較的セム族的一神教の世界の中では割と中立といいますか、いずれにも敵視をされないというところで、比較的日本は安全だったということがあろうかと思います。特にここ十年、二十年はそうだと思うんですが、ところが昨年バングラデシュで日本人も含めて殺された事件がありました。そのときに参加をした七人のテロリストのうち、一人はほんの直前まで日本で生活をしていた人だというふうに私は承知をしております。
そういったことを言いますと、水際で全部テロリストを止めてしまうということは実質上不可能になっていると。そうしますと、テロ行為が行われないような雰囲気をつくるということが大事でありまして、そこを考えますと、それこそ宮家公述人が行っておられたイラク、あそこでやるテロというのは、テロで爆弾を投げる、あるいは遠隔操作で爆発をさせる、それをまた宣伝をするためにカメラマンが撮っているんですね。爆弾を投げる人の周りには一般の市民がいるわけです。その一般市民というのは、恐らく警察にも治安軍にも報告をしないんですね。要は、政府がいいのか、そのテロリストがいいのかというのは、どっちを支持しているか分からないからです。
そういった意味では、日本の場合はもうテロは絶対許さないというのはもう国民的な全くの合意でありますので、国民を挙げてテロがやりづらい雰囲気になっているわけですので、そういう雰囲気を崩さないといいますか、決意を示し続けるということが私は必要だと思います。

○公述人(小此木政夫君) 私はこの問題の専門家でもありませんから簡単に申し上げたいと思いますが、国内のテロということに関して言うと、それはやっぱり目標を与えないとか、無差別性というようなものに関しては、無差別的なテロであってもそれは目標があるからですから、政治的な目標の対象に日本がなるんだということであればそれは大変懸念されるわけですが、しかし、できるだけそういう、何と言ったらいいでしょうか、逃げるような話ではありますが、政治的な目標を与えないということはやはり重要なんじゃないかと思うんです。
しかし、その上で、まさかのことがありますから、それは、その種のテロに対しては最大限の警備体制というのを整えるべきだと思います。

○山本太郎君 ありがとうございます。
日本がテロに狙われるとしたら、どんな勢力だとお考えになられますか。また、その目的は何でしょうか。この部分に関しては少し短めにお答えいただけると助かります。先ほどと同じようなケースでお願いします。

○公述人(宮家邦彦君) もう既に狙われており、実際に実行はされているわけですよね。私の知る限り、アルカイダができて、そして行動を起こして、もうかなり早い段階で、二〇〇一年か二年か忘れましたけれども、その頃にもう既に日本は対象になっていました。我々日本が何か悪いことしたわけでも何でもないんですけれども、勝手に彼らが言うわけですよね。
ですから、そういう意味では、幾つかこれからお話があると思いますけれども、少なくともアルカイダ系、そして恐らく御承知のとおり既にもう犠牲が出ているわけですがイスラム国系、これにとっては日本はもう初めからターゲットであるということだと思います。

○公述人(山口昇君) 私も同様に思いますし、ただし、そのイスラム過激派だけがテロだと思い込んでしまうのも私はまずいと思います。
オウム・サリン事件を思い出しますと、私は、あれ、まだ当時、あの事件のそばを通ったことがありますので忘れることはできませんし、私が学生の頃は、いわゆる過激派という人たちが反日何とか戦線というのでテロをやったわけでありますので、そういういろんな理由で、不満を持ち、抑圧されていると感じ、それでそれを卑劣な手段で、何といいますか、訴えようとする勢力というのはもういろいろな勢力がいるんではないかと思います。

○公述人(小此木政夫君) 確かに過激派のケースとかオウムのケースを言われると、それは日本にも国内テロは深刻なのがあったんだなということになりますね。
イスラムのテロ等をどうも念頭に置くものですから、これはどっちかというと巻き込まれるに等しいような感じがしないでもないんですが、しかし、こちらがどう思うかと関わりなく、向こうが利用価値があると思えば当然やってくるわけですから、最大限の注意を払うべきだろうと思います。

○山本太郎君 ここ数年の間のテロといえば、これは宮家先生からもお言葉が出ましたけれども、ISが有名になってきたと。もちろん、二〇〇一年に日本でそういうアルカイダの動きがあったけれども、それは未然に防ぐことができた。最近では台頭してきているISだというお話なんですけれども、そのISが誕生した理由というのは何だと思われますか。これは宮家先生にお答えいただきたいです。

○公述人(宮家邦彦君) 長くしたくないので簡単に言えば、幾つかあったあの種のグループの中で、それまではどちらかというと中東域外のアメリカとか欧州をターゲットにするグループもいれば、そうではなくて、同じような考え方ですけれども、より領域を持って中東の中で活動していくというグループがありました。その人たちの一部がイラクで追い出されましてね、アメリカが入ってきた後。そして、その中でグループができて、シリアが内戦によって力の空白ができたためにそこに根を下ろし、それが今度はイラクに逆輸入してきて広がった。どちらも、シリアとイラクという国家が事実上破綻国家に近くなっていて、まともな正規軍それから治安部隊を持たなくなったことが原因だと思います。

○山本太郎君 ありがとうございます。
ISが誕生した理由の主なものとして語られるのが、アメリカを中心とした国々による中東への介入、特にイラク戦争でのアメリカ軍による戦争犯罪、つまりは一般市民への無差別の殺りくが実際に現場で行われていたと。そればかりか、罪のない方々も捕虜として捕らえられ、アブグレイブ刑務所などで非人道的拷問も繰り広げられたと。その中で、人々は、必ずこれは仕返しをするということを誓い合ったということも聞いたことがあります。
そのイラク戦争に対しましては、日本もイラク戦争をすぐに支持をした。自衛隊に関しましては実際に現地へ出向いていただきました。特に、航空自衛隊はバグダッドへの輸送に関して、国連関係者と偽って米軍関係者の輸送を手伝ったことも明らかになっています。これ、名古屋高裁の判断では、航空自衛隊のイラク派遣は憲法九条に違反すると、これは特措法に関しても違反をしているんじゃないかという話で判決が出ているというような状況なんですよね。
結局、蓋を開けてみたら、イラクから大量破壊兵器は発見されなかったと。でも、これは最初から分かっていたことだと思うんですね。例えば、これは国連の大量破壊兵器を査察するというUNMOVIC、この委員長のハンス・ブリックスさんが、幾ら捜してもないと、五百か所、七百回捜索が行われたけれども、これは見付からないと言ったけれども、もっと捜せと言われている途中で戦争が始まってしまったということも言われています。
振り返ってみれば、日本のイラク戦争への支持、参加というのは、これ、選択は合っていたんでしょうか。これ、過去に遡ることは難しいですけれども、宮家先生は、恐らく当時官邸に非常に近いといいますか、ところにいらっしゃったんですかね。外務省にもいらっしゃった方ですし官邸にもいらっしゃった方なので、今振り返られてどう思われるかということを、短めにと言ったらちょっと酷ですけれども、教えていただければと思います。

○公述人(宮家邦彦君) 短くならないかもしれませんが、簡単に申し上げれば、日本があの武力行使を支持した理由は、大量破壊兵器があるかないかとかそういうことではなくて、私の理解では、一九九〇年、九一年のあの一連の事件、クウェート侵攻があって、その後国連安保理決議ができて、その安保理決議に従って、イラクが義務を負っていたのにもかかわらずその義務を十分果たさなかった、それが私は理由だと思っています。その意味では、日本があの行動を支持したことは正しいと思っています。
もし、何か間違いがあったとしたら、私自身現場にいて感じたことですけれども、確かに戦後の統治は難しかった。私は、CPAという連合国暫定当局というところに出向をさせていただいていましたけれども、確かにイラクの占領政策若しくはその再建の努力は不十分だったと思います。計画もなかったと思います。それが私は返す返すも残念ですが、少なくとも国連安保理決議に関する判断については正しかったと思っています。

○山本太郎君 ありがとうございます。
現場にいた宮家先生からのお言葉を聞かせていただいて、ありがとうございます。
世界中はもう検証始まっているんですね。もう終えているイギリスのチルコット委員会では報告書が出され、イギリスは平和的な方策を尽くす前にイラク侵攻に踏み切った、開戦に法的根拠があると決断する状況には程遠かった。ほかにも、アメリカは、随分前ですけれども、二〇〇五年にブッシュ大統領が設置した独立調査委員会では、約六百ページにわたる報告書を公表して、情報収集活動が完全に誤りだったことを認めて断定していると、米近代史上最も大きな害をもたらした失敗と位置付けた。
これ私、何が言いたいかといいますと、過去の戦争の検証と反省という総括を行わなければ、これテロ対策しているとは言えないと思うんですね。要は、過去に先進国がイラクに土足で踏み入ったことに関して、その根拠がやはり、その後の検証行われた後で、やっぱりそれ良くなかったということが世界中がはっきりしているという時点で日本はもう少し検証を進めなきゃいけないと思うんですけれども、宮家先生、検証必要だと思われるかどうか、教えていただけますか。

○公述人(宮家邦彦君) 今おっしゃったのは議論の飛躍でございます。私があそこで支持すべきだと言ったのは、確かに、検証した結果、なかったことはそうでしょう。しかし、あのとき当事者として横で見ていましたけれども、イラクはかたくなに査察を拒否したんです。もし本当にないんだったらば、見せればいいんです。それだけのことなんです。我々もそれがされたらもうそれは無理だよねと思っていたんですが、最後までかたくなに拒否をした部分がありました。したがって、それをもって安保理決議違反と言われても私は仕方がないほど非常に断固として彼らは履行を拒否した、査察を拒否したと理解しています。

○委員長(山本一太君) 時間です。

○山本太郎君 ありがとうございます。
チルコット委員会の報告書も是非先生には目を通していただきたいと思います。
ありがとうございました。




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