山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

 

○山本太郎君
れいわ新選組、山本太郎です。
冒頭、大臣に、附帯決議というものは、大臣や環境省にとって大変重要なものという認識はお持ちですか。
それとも、お茶を濁すための紙切れなんでしょうか。
一言でお答えください。

○国務大臣(浅尾慶一郎君)
大変重要なものと認識しております。

○山本太郎君
本題に入ります。
再エネ推進と自然環境保全、住民の権利保護の両立のためには、戦略的アセスメントが必要です。
環境省、戦略的アセスメントは何か、平成22年2月22日、中央環境審議会の答申で示された説明、教えてください。

○政府参考人(秦康之君)
お答え申し上げます。
ご指摘の答申におきましては、戦略的環境アセスメントとは、本来、個別の事業に先立つ戦略的な意志決定段階、すなわち個別の事業の実施に枠組みを与えることになる計画、さらには政策を対象とする環境影響評価であるとされております。

○山本太郎君
私からも補足を。現行法の環境アセスメントは、例えば風力発電など特定の事業に対して行われる事業アセスメントを基本としていると。

資料①。

この事業アセスメントだけでは、すでに事業の枠組みが決定されてしまっているので、その事業の前提となる計画の見直しや事業の中止も含めた代替案の検討など柔軟な措置が困難です。
そのため、早期段階での環境配慮を可能とする戦略的アセスメントがアメリカやEUなどで導入されている。
例えば、同じ地域で幾つもの事業者が風車を建てようとしている場合、事業アセスでは一件一件のアセスになります。
一件一件で見て問題なくても、複数の風車が混在した場合の累積影響は事業アセスでは評価できません。

資料②。

この場合、戦略的アセスメントでは、このような個別事業の計画を立てる前、地域や海域の利用計画を評価することができます。
例えば、この地域、この海域に風力発電所を造ると生態系や住民への影響が大きいからこの地域、海域での事業は認めない、事業数を制限するなどを前もって決めることができる、このような戦略的アセスメントのおかげで環境保護と再エネ推進の両立がうまくいった海外の事例は幾つもあります。

資料③。

ドイツにおける風力発電の普及過程や計画プロセスに関する事業者や自治体、環境保護団体などに対するヒアリング調査があります。

資料④。

その調査結果によると、個別事業に対する受容性に関して、ゾーニングの策定過程に環境保護団体及び地域住民が適切に参加できており、将来、どの区域に風車が立地し、どの区域が風車から保全されるのかを知ることができているのであれば、ゾーニングは彼らの受容性を向上すると報告されています。
つまり、具体的な風力事業計画が進められる段階でチェックするのではなく、どの地域に風車を造ってよいのか、ゾーニングの議論に最初から住民や環境団体が参加できた事例の方が受容性が高まる、地域にその風力発電が受け入れられやすくなるという、そのような話なんですね。

資料⑤。

ほかにも、セルビアにおける風力発電所の戦略的環境アセスメントによる騒音影響評価は、開発初期段階において予防的環境保護に大きく貢献したと評価されています。
つまり、前もって騒音の影響を予測して、騒音影響が大きいと予測された風力発電所の位置を比較的影響が低いエリアに移すことを都市計画に含めたことで、事前に住民への影響を防いだということです。
このように、戦略アセスの法制度化の必要性は長く指摘されてきました。
この戦略アセスが日本にないから、再エネ事業者と地域住民が対立し、頓挫する再エネプロジェクトも多いんではないでしょうか。
環境省、本法案で戦略アセスメントを法制化する規定はありますか。

○政府参考人(秦康之君)
お答え申し上げます。
本法案の改正事項におきましては、個別事業の実施に枠組みを与えることとなる上位計画等を対象とした環境影響評価でございます戦略的環境影響評価の実施に関する内容は含まれておりません。
一方で、戦略的環境影響評価につきましては、現在までに、早期段階の効果的な環境配慮の確保や地域における適切なコミュニケーションの推進を図る観点から、地球温暖化対策法に基づく促進区域制度の導入ですとか、あるいはこちらの再エネ海域利用法でございますけれども、計画段階での環境配慮を可能とする仕組みの導入といった取り組みを進めてございます。

○山本太郎君
計画段階、計画段階って、政策段階というのが一般的には戦略的アセスの話なんじゃないですか。
周回遅れというか、それを日本版と呼びながら、ほかのやつでできているよなんて、言い訳にもなっていないんですよ。
それができている、それで賄えるというんだったらもめていないでしょう。
さっきの山下先生の話を聞いていてもそう思います。

風力発電めぐっては、各地で住民と事業者、対立起こりまくっていますよね。
京都府の丹後半島、ここでもそうでした、事業者、結局撤退したりとか。
北海道の石狩、この沿岸というところも、有望な地域と、区域と評価されながらも、今もう反対が高まってきていると。

環境省が、似たような仕組みは、すでにあるんだと、適切に対応していると言っても、適切な戦略的環境アセスメントがないから、こういった対立が後を絶たないわけですよね。
そもそも、本法案では、先ほど来お伝えしている戦略的アセスメントを保障するような内容は盛り込まれていません。

環境省の資料によれば、今回の改正点は、建て替え事業における配慮書手続の簡略化とアセス図書の継続公開とのこと。
まず、配慮書手続の簡略化について、建て替えの場合には本来必要だった配慮書の作成を簡略するものだと。
これはいわゆる規制緩和で、事業者側には高く評価されているようです。

資料⑥。

例えば、一般社団法人日本風力発電協会が今年1月23日に提出した本法案への意見書では、実現可能性ある適当なアイデアの提示と評価する、建て替え事業に係る環境影響評価手続の合理化に期待すると、この規制緩和を歓迎しています。
一方、この規制緩和について環境保護団体は懸念を表明。

資料⑦。

例えばNPO法人気候ネットワークは、配慮書手続の見直しについては、審議会の審議終盤で公有水面の埋立て及び干拓を除く全ての第一種事業に拡大することとされ、建て替え事業の場合、計画段階配慮事項ごとの調査、予測、評価を省略することを原子力や火力を含め適用するとしたことは看過できないとしている。
つまり、火力のリプレースなど、規制緩和にもつながる懸念が大きいと。

次に、アセス図書の公開について。さらに、本法案のアセス図書を一定期間公開する規定は、一見、情報公開の向上につながりそうにも思うけれども、これも問題大ありだと。

資料⑧。

気候ネットワークは、情報開示についても非常に不十分な内容で問題が多く、今回の法改正が改善とは言えないと批判しています。
その理由として、条文の中にアセス図書の継続公開には事業者等の同意を得なければならないと定めたことなどを指摘されている。
事業者は、著作権を盾に、これまでアセス図書の積極的な公開を拒んできました。
そのせいで、地域住民、環境団体などが事業アセスの結果をチェックするためのハードルが上がっちゃっている。

本来は、アセス対象事業の資料は国会図書館などでアーカイブ化して一般住民がオンラインで閲覧できるようにすることが望ましいですよね。
でも、今回の改正ではそのような積極的な公開を保障せず、公開に後ろ向きな事業者の意を酌んだ規定になっている。
したがって、本法案は事業者側の意向ばかり酌み入れられ、地域住民が主体的に初期段階から環境アセスに参加する機会を保障せず、結果として、これまでどおり再エネ計画と地域住民の対立を招くことにつながるものです。

つまり、環境保護と自然エネルギー推進の両立を困難にする改悪と言ってもいいです。
今回の法改正にも戦略アセスの規定は設けられなかった。
戦略アセスメントが必要ということを政府や国会は分かっていなかったんですかね。
そんなことないですよね。

そもそも戦略的アセスメントを法律で規定することについては、1997年、アセス法成立時の附帯決議にも示された宿題だったが、ずっと放置。
2011年改正時にも附帯決議に示されたが、その後、また放置。
今回の法改正でも反映されず、またまた放置。

政府も国会も約30年にわたる職務怠慢を続けている、そういう話です。
1997年、法制定時の附帯決議は、上位計画や政策における環境配慮を徹底するため、戦略的環境影響評価についての調査、研究を推進し、国際的動向や我が国での現状を踏まえ、制度化に向けて早急に具体的な検討を進めることと、明確に戦略アセスを早急に導入せよと指示をしている。
制定から30年もの時間があった、なのに本法案に戦略的アセスメントを盛り込まなかった理由、何ですかね、大臣。

○国務大臣(浅尾慶一郎君)
これまで環境省では、戦略的環境影響評価の考え方も踏まえて、地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画の中で、環境保全を図りつつ促進区域を設定する制度や再エネ海域利用法等に基づく募集区域等の指定の過程であらかじめ海洋環境等の調査を実施する制度など、上位の計画や政府の政策立案段階で環境配慮を図るための制度の導入に取り組んでまいりました。

引き続き、こうした取り組みに加えて、そうした戦略的環境影響評価の考え方等の知見等を取り入れた形の収集、知見の収集に努めてまいりたいと考えております。

○山本太郎君
まあよく聞く政府からの言い逃れ、やってる感アピールをもう一度発言していただいたというふうに聞こえます、私からは。
知見の収集に努めるって、30年、知見収集しまくって、結果どうなんですかって。
結果出さないんですか、ここで。
おかしな話ですよね。

よく聞く話として、まず、2011年、本法改正で盛り込まれた計画段階環境配慮制度が戦略的環境アセスメントに類するものだという主張。

資料⑨、⑩。

環境法学者の北村宣教授は、この計画段階環境配慮制度について、2011年改正により導入された計画段階影響配慮制度は戦略的環境アセスメントではないと述べています。
その大きな理由は、今の制度では事業実施が決まってからその環境影響を配慮するという手順になっており、事業決定以前においては地域住民が意思決定に参加することができないからと。

一方、環境省は、政府においては現在までに戦略的環境影響評価の趣旨に資するものとして、とりわけ再生エネルギーの導入に関して次の措置を講じてきているとも主張しています。
次の措置とは、温暖化対策法や改正海洋再生エネルギー法のゾーニング策、いわゆる促進区域を設定し、そこで再エネ事業を行わせようとする施策。
このゾーンで再エネ事業をしてねという誘導ができれば戦略アセスと似たような効果が得られるという。
これを戦略アセス的なものは、すでにありますと言い訳をし続けているのが環境省なんですね。
しかし、昨年6月11日に温対法の質疑でも取り上げさせていただいたように、この促進区域制度は、戦略的環境アセスメントの趣旨に資するなんて到底言えない不十分な制度です。

資料⑪。

まず、推進区域を設定するには調査やステークホルダーとの協議が必要ですが、各地で財源不足、人員不足が原因でうまく進まないと指摘されてきた。

資料⑫。

このゾーニング策のための支援予算規模も近年減少傾向にある。
全国知事会では、令和5年7月、促進区域制度活用のための市町村への財政支援を求めているぐらいですよ。

資料⑬。

このような人員不足、財源不足も背景に、温対法に基づく再エネ促進区域は太陽光に偏っちゃっている。
陸上風力のゾーニングや戦略アセスとは評価できない。
洋上風力については促進区域設定の動きはあるけれども、法定協議会に環境団体を入れないなどの問題も指摘されています。

よって、地域のステークホルダーをフルに交えた戦略アセスとは評価できない。
ごまかしの手段で国民だまして、戦略的環境アセスメントの法制度化をこれ以上先送りにしないでいただきたいんです。

そうお願いしたとしても、なかなかハードル高過ぎますかね、自民党にとったら。
どうしてかといったら、1997年の法制定時の議事録調べていたら、自民党政権、戦略的環境アセスメントの法制度から逃げてばかりなんですよね。

例えば、当時の橋本総理の答弁、戦略的アセスの法制化は、具体的な手続の在り方を議論するには検討を要する事項が多過ぎる。
問題意識は持っておりますけれども、これから先の検討を必要とすると。
逃げたと。
そこから30年逃げ続けているんですね。

資料⑭。

しかも、2002年の段階でOECDから戦略的環境アセスメントの体系的な実施についての勧告が日本に対してなされていたのに、その後も逃げ続けたと。
それで30年たっちゃったということですよね。

大臣、百歩譲って、法制定時、実際に多くの検討を要していたとしても、その必要性が当初より指摘されていた戦略的環境アセスメントの法制度化、それがなされないまま約30年経過して今日に至るというのは、さすがに時間たち過ぎているなという自覚はございますでしょうか。

○国務大臣(浅尾慶一郎君)
先ほど申し上げた、様々なその促進区域あるいは再エネ区域等の取り組みがあるわけでありますけれども、そうしたものに加えて、我が国における戦略的環境影響評価の在り方や対象とすべき計画等についてさらに検討する場合には、当該検討に係る国家戦略等の政策や計画に基づき行われる事業に関連する個別法令の内容などを踏まえて、関係省庁とも連携しつつ慎重に検討を進めていくべきであると考えておりまして、引き続き、さらなる知見の収集に努めてまいります。

○山本太郎君
30年やって、まだ知見を収集する段階なんですか。
これ、時間たち過ぎているな、もう今の制度でほぼ十分だなというお考えだということですか。
どうでしょう。

○国務大臣(浅尾慶一郎君)
現状でも、我が国において先ほど申し上げたような様々な取り組みが行われています。
そして、現在、複数の国において戦略的環境影響評価に係る法的な規定が導入されていますが、各国の規定や制定形式は異なり、その対象となる計画、プログラムや要求するプロセスも国によって異なると承知しており、我が国においては我が国の実情に応じた制度の設計が必要だと考えています。

○山本太郎君
それをいろいろ検討して30年たっているんですよ。
いまだにその認識なんですかということですよ。
国によって違うといったって、ある地域に何か物を建てますというときに、周囲の住民たちにとって健康影響が出たりとか騒音問題が出たりとかするということは、別にこれ世界どこを取っても変わらないわけですよね。
国が違うからそこら辺違うとかという話にならないですよ、基本的なことですから。
国土を壊すなと、コミュニティーを壊すなと、そういった建設を許すなということの話なんでしょう、これって。
だとするならば、それ30年、いろんな利害関係の調整が難しいということで引っ張ってきたことを、いまだにこれすぐ取り組むべきだとは思わないということでいいですか。
いかがでしょう。

○国務大臣(浅尾慶一郎君)
繰り返しの答弁になりますけれども、我が国においては、先ほど申し上げた促進区域等、地域の様々なステークホルダーが参加して地域の中において取り組んでいくような制度は、すでに導入をされております。
そうしたものを踏まえながら、戦略的環境影響評価に係る各国別の形態が異なることもありますので、我が国において、我が国の実情に応じた制度の検討が必要だということでございます。

○山本太郎君
すでに導入されていると言うけど、それじゃ回っていないって、そういう話ですよね。
だって、いろんなところでもめているんですもん。
違います。
先ほど山下委員の方からもいろいろ話がありました。
その数を聞いたとしても、決してこれはちゃんと地元の声を聞くことにもなっていないし、何よりもこの戦略的アセスが必要だということは30年前から言われているのに、今に至っても、もうすでに導入されているものでオーケーだという考え方自体がちょっといいかげんにしなきゃダメなんじゃないですかと思います。

一応、保守と言われる者の集まりが自民党なんですよね。
全て、一部の者の金もうけだったりとか国土を荒らすこともいとわない。
これじゃ、やっていることただの保身じゃないですか。
もちろん、この委員会に属する先生方はそれに該当される方々はいらっしゃらないと私は信じておりますけれども、現行法に意図的につくられた穴を埋めるためには修正が必要だということで、私たちれいわ新選組は修正案を提出いたしました。

要点は3つです。
1、30年宿題になってきた戦略的アセスメントの法制化を1年で行う。
その際には、この仕組みに関わる自治体への財政措置も法律で義務付ける。
2、原発と火力には建て替え時のアセスメント緩和をしない。
3、アセス図書は事業所の同意なく公開できるようにする。
大臣、こういった趣旨に沿った環境アセス法の再改正って迅速に進める必要があると思いますけれども、大臣もそう思われませんか。

○国務大臣(浅尾慶一郎君)
まず、先ほど促進区域のお話をさせていただきましたが、その場において様々な争いがあるというふうに私は認識をしておりません。
したがいまして、今導入しておりますものをさらに拡充していくことは大変重要だろうというふうに思っております。
その上で、先ほども申し上げましたとおり、我が国の実情に合わせた形で制度を検討していくことが大切だというふうに考えています。

○委員長(青山繁晴君)
時間が来ておりますので、おまとめください。

○山本太郎君
すみません、促進区域でもめ事がないと言うけれども、促進区域みたいなものがあるから、これはある意味で戦略的アセスの代わりの1つになるというような認識かもしれないけど、そこに十分なお金付いていないから困っているんですよ。

全国知事会からもこれ財源付けないとダメだよと言われているのに、そこに手付けていないわけでしょう。
代わりにこれでできているというものさえも不十分じゃないですか。
30年これは宿題を放置してきたということを、今、回収していただきたいんですよ。

なので、先ほど私がお伺いしたこのような法改正必要じゃないですかということに対して、環境を守る意識からは絶対イエスって言っていただかなきゃいけないんです。
環境省なんでしょう。
環境破壊省ではないんですよね。
だとするならば、ぜひこのような修正方向で改正を行っていただきたいと、そして皆さんには、ぜひご賛同をいただきたいということを心から申し上げて、終わります。

【趣旨説明】

○委員長(青山繁晴君)
他にご発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
本案の修正について山本君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
山本太郎君。

○山本太郎君
私は、本法案に対し、れいわ新選組を代表し、修正の動議を提出いたします。
内容は、配付されております案文のとおりです。
この趣旨及び概要について説明をいたします。

カーボンニュートラル実現のため、再エネの導入促進が必要不可欠となっている現状においては、その適正な導入のための手続として重要な環境アセスメント制度について、積極的に問題点の洗い出しを行っていくべきと思います。
しかし、本改正案は、環境アセスメントに関する諸課題を解消し、現状に対応したものとは言えません。

まず、建て替え事業の対象については、火力発電所及び原子力発電所は環境に与える影響が大きく、手続を簡易化する建て替え事業の対象として適当ではありません。
特に、答申にて唐突に火力、原子力発電所も対象に加えられたことについては、どさくさに紛れて火力、原子力発電の維持を試みるものであり、再エネへの転換を妨げるものであると指摘します。

また、いわゆる戦略的環境アセスメントについては、これまでの附帯決議で幾度となく政府に導入を促してきましたが、今回の改正案にもその制度化は盛り込まれませんでした。
現状の環境アセスメント制度は事業決定後の段階での評価にすぎません。
国などが、関係する地方公共団体や住民等の意見を踏まえつつ、政策立案段階から評価を行う戦略的環境アセスメント制度の導入について、速やかに検討が進められるべきです。

加えて、アセスメントに関する重要な情報源であるアセス図書については、その公共性の高さも踏まえ、誰でも必要なときにアクセスできる状態を保つことが望ましく、継続公開については事業者の同意は不要とするべきです。

こうした状況に鑑み、本修正案では、第一に、建て替え事業に係る配慮書手続の対象となる既存工作物から、地熱発電所を除く火力発電所及び原子力発電所を除外することとしております。

第二に、本法の附則に、いわゆる戦略的環境アセスメントの仕組みの導入について検討を加えるとともに、仕組みの導入に伴う地方公共団体の負担を軽減するために必要な財政上の措置の在り方についても検討を加え、それらの結果に基づき、本法の公布後1年以内に必要な法制上の措置を講ずるものとするとの検討条項を追加することとしております。

第三に、本法の附則に、アセス図書に関し、著作権の保護等に留意しつつ、当該書類を作成した事業者の同意を得ることなくこれを公開する制度の在り方について検討を加え、その結果に基づき、本法の公布後1年以内に必要な法制上の措置を講ずるものとするとの検討条項を追加することとしております。
以上が修正案の趣旨及び概要です。
何とぞ、委員各位のご賛同賜りますようお願い申し上げます。

【討論】

○委員長(青山繁晴君)
これより原案及び修正案について討論に入ります。
ご意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○山本太郎君
私は、れいわ新選組を代表し、原案反対、修正案賛成の立場から討論を行います。
原案には主に3点の重大な欠陥があります。

第1に、1997年の法制定時からその導入が宿題とされていたのに、約30年も経過していまだに、戦略的環境アセスメントを規定する内容が本法に盛り込まれていません。

6月10日の参考人質疑で原科参考人は、2007年に環境省がつくった戦略アセスの検討会でかなり議論し、共通ガイドラインを作るまで行ったが、ブレーキが掛かったとご発言されました。
なぜブレーキが掛かったのか。

2012年9月25日東京新聞によると、2007年当時、環境省の有識者会議が戦略アセス導入の方向で固まっていたところ、電気事業連合会や経産省の要請を受けて、自民党が戦略アセスの導入を阻止したと報じられています。
自民党と経済界が組んで戦略的アセスの法制化を阻止してきたんです。

第2に、本法案には、建て替え事業における配慮書手続の簡略化が盛り込まれていますが、火力や原発まで簡略化の対象に含められました。
6月10日の参考人質疑で阿部参考人から、原発の建て替えについては、どこまでがリプレースとして手続簡略化されるかは今後政令で詰めるというお話でした。
国会が関与できない政令で、事実上の原子炉新増設をリプレースと言い換えて、規制緩和を認めることになりかねません。
悪質なやり方です。

第3に、アセス図書の継続公開ですが、本改正案では、事業者等の同意を得なければならないと規定されています。
こんなことでは情報公開が進まないと、誰の目に見ても明らかではないでしょうか。

他方、れいわ新選組の修正案は、1、30年宿題になってきた戦略アセス法制化を1年で行う。
その際には、この仕組みに関わる自治体への財政措置も法律で義務付ける。

2、まず、断固、原発と火力には建て替え時のアセスの緩和をしない。
原発と火力以外の建て替えにもアセス緩和を認めるべきではないという意見もあります。
でも、野方図な建て替えは、上記戦略アセス法制化により早い段階で規制できます。

3、アセス図書は事業者の同意なく公開できるようにする。
このような内容の修正で、原案に含まれる重大な欠陥を解消する内容になっています。
最低限必要な規定を盛り込んだこの修正案への支持を求め、私の討論を終わります。




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