山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

 

○山本太郎君 
れいわ新選組、山本太郎と申します。
先生方、貴重なお話、ありがとうございました。

まずは原科参考人にお聞きしたいと思います。
先ほどもお話が出ましたけれども、2020年に「環境と公害」という雑誌で発表された環境アセスメントと公共性、この論文において、世界標準のアセスが満たすべき項目として3点挙げられたと。

環境情報へのアクセス、意思決定における公衆関与、プロセスのチェック機能ということなんですけれども。
そして、この論文を発表された2020年の当時の段階で、日本のアセス制度はこれら3つの全てを満たしていないと評価をしておられました。
これら3項目は今回の改正法案で満たされることになりましたでしょうか、それとも満たされていないでしょうか。
その理由などもお聞かせいただければと思います。

○参考人(原科幸彦君)
前進はしたと思いますけど、満たされたというのはなかなか難しいと思いますね。
特に情報公開は、さっき何度も申し上げたけど、まだ十分じゃないと。
ようやく今回アセス図書の公開が継続になされるので、一歩進みましたね。
ただ、早期の段階ではまだまだ十分でないと思います。
特に計画案の公開は遅いんですよ。

先ほど複数案の検討というご質問ありましたけど、まさに計画案の情報公開を渋るので、複数案の検討なかなか進めないんですよ。
これに関する考え方、元々の方法論だとシステム分析という方法、これが基本なんですね。
システムシミュレーションというのはこの意思決定を支援するシステムですから、いろんな案、A案、B案、C案、これ代替案、英語でオルタナティブという言い方しますね、そういう代替案を比較検討して、一番いいものを選ぼうと、こういう考えなんですよ。

だから、アセスの場合には、提案行為と英語で言っていますけど、ある事業をやりたいと、そうすると、その事業と比較して、もっと環境を配慮した形をA案のほかに考えると。
それから、その行為をやらなかった場合、ノーアクション、だからゼロオプションも入れるんですよ。
そういうのを比較して評価するんですね。
ところが、そういういろんな案を本当は事業者は考えているんだけど、それを早期に公開しないので、なかなかうまくいかないというか、ですから、情報公開というのはなかなか難しいですね。

それから、参加に関しても、さっき申し上げたように、十分意見交換の場が持たれないと。
でも、これも進みました。
昔、説明会もないようなこともありましたけど、だんだんそういう機会は増えましたから、進んではいるんですけれども、まだ十分ではない。

ただ、法の仕組みではなくても、地域的ないろんな事例が出ていますから、そういったものを参考にすればもっと進めることができると思いますね。
特に、意見交換会という概念の場をつくっていただくと随分参加が進むと思います。

それから、司法との連動はまさに異議申立て制度、これももう国際協力分野でやっているわけですからね。
しかもすばらしいパフォーマンスですよ。
だから、ぜひこれ今スタートすれば入れていただきたいと思いますね。
ですから、これは10年後と言わずに5年後を目標に、これまでの経験を生かして法制を進めていただきたいと、あっ、法の改正ですね、お願いしたいと思います。

○山本太郎君 
ありがとうございます。
もう1問よろしいでしょうか。
原科参考人は、2023年に「環境と公害」という雑誌で発表された「戦略的環境アセスメントの導入に向けて」という論文において、事業段階の環境アセスメントでは、1、事業実施段階では保全対策が限られる、2、計画自体の見直しが難しい、3、累積的影響への対処ができないという3つの問題が存在するため、アセス先進国では事業よりも上位の計画段階や政策段階でのアセス、すなわち戦略的環境アセスが、すでに実施されていることをご指摘されています。

戦略的環境アセスメントを法律で規定することは、1997年、アセス法成立時の附帯決議にも示された宿題だったはずなんですね。
けれども、先送りです。
そこから約30年経た今日においても、今回の改正法案にも盛り込まれていません。
このような戦略的環境アセスメントの法制化をめぐる状況を、日本における環境アセスメントの第一人者、その原科参考人がどう評価されているでしょうか。

○委員長(青山繁晴君) 
ご発言は許可が必要です。

○参考人(原科幸彦君) 
すみません。
手を挙げてしゃべる癖が付いていないので、すみませんでした。

そうですね、これは難しいんですよね。
2006年か2007年に環境省がつくったSEA検討会、これでかなり議論しまして、大分問題が明らかになって、しかも、共通のガイドラインを作るまで行ったんですよね。

法制化にもそれは反映するところまで行ったんですけど、ブレーキが掛かっちゃったんですね。
だから、これは本当に難しいと思うんですけど。
ただ、本当に世界はそういうことをやっていまして、実は国際協力分野では国際標準の仕組みになります。

JICAは改定ガイドライン、2010年に作りましたけど、そこではマスタープラン、つまり上位の計画段階のSEAやっています、導入しました。
だから、日本の仕組みでできないわけがないんですけど、どういうわけか国内の仕組みは遅れているんですよね。

だから、これがどうなのかという、それ皆さん一緒にちょっと分析して検討していただきたいんですが、私は、これはやる価値があるし、日本の組織だってやっているところあるわけだから、できないわけがないと思うんですね。

だから、まず、そういうことは重要な分野からでも始めていただきたいと思いますね。
その前に、まずこういうアセスメントとかが本当に社会的効果があるということを国民が学習するためには、幅広くアセスメントを経験するように、簡易アセスメントですよ。
中国は年間40万件、50万件やっていますから。
アメリカが10万件、日本は最近100前後、昔は20件ですからね。

だから、アセスというものに接触する機会がとっても少ないんです。
これが、簡易アセスだから、事業者もやるの簡単ですから負担感ないですよ。
でも、それによっていいことをやっている事業者は評価されます、SDGsですよね、評価されますよ。
だから、プラス両方あるんですよね。
そういう社会に変わっていけば、その上で一斉に進むことができると思いますけどね。

だから、そういうふうに、まずは事業アセスの改善をさらに進めていただいて、併せてSEAの導入を考える。
ただ、考えるばっかで五十数年やっているわけですから、しかもガイドラインまで作ったのにこれはポシャったんだから、もう1回あれを見直してやってもらいたいですね、と思います。
だから、10年後と言わず、5年後を目標にやってください。

○山本太郎君 
ありがとうございます。
3年越しの宿題さえもクリアできないまま、また法改正ということに関して、本当に政治の体たらくをおわび申し上げます。
引き続き原科参考人にお聞きしたいです。

2024年、「環境法研究」という雑誌で発表されたSDGsと環境アセスメント、環境アセスメントの導入が持続可能な社会への道を開くという論文において、アメリカの国家環境政策法のアセスメントと日本のアセス制度を比較されています。

その上で、アメリカのアセスは規模にかかわらず連邦政府の行為全てを対象にしており、連邦政府の意思決定が行われる様々な行為が対象となる、開発事業だけではなく、上位の計画や政策まで幅広い、日本の環境影響評価法では土地の改変や構造物の建造に限られているのとは大きく違う。

中略です。
米国では人間行為が対象なので、例えばオスプレイの飛行訓練もアセス対象となる、その結果、アメリカでは、人々の懸念に応えて、国内での飛行訓練は延期や中止になったとのことです。

参考人が論文にお示しいただいた例にもあったようなオスプレイの飛行訓練などもアセス対象となるような政府の行為を対象とした環境アセス法の改正法案とするには、例えばどういった条文が盛り込まれる必要があるとお考えになりますか。

○参考人(原科幸彦君) 
それはちょっと難しいと思って、具体的条文は私きちっと考えていないんですけど、言いたいことは、そこまで行かなくても、とにかく1つは、意思決定への関与ということが大事なポイントでございまして、対象行為はそこまで行かなくてもいいかもしれないですけど、広げていけばいいということで、大事なことは、政府が予算を使うわけですから、その意思決定しますよね。

それに対して、国民がしっかり見て、そして意見を出して、その国民に声に応えてもらうという、こういう考え方が必要なんですね。
アメリカはそういう民主主義の長い歴史がありまして、そういう背景の下でできたのがNEPA(国家環境制作法)ですから、日本とは随分違いますので、一気にそこまで行きません。

だから、そういう意味では、条文まではそれくらい考えていなかったんですけど、だから、とにかく意思決定へもっと、オーフス条約にあるように、情報公開して、市民、住民が参加して、そして、おかしければブレーキ掛けられるように司法との連動という、そういう仕組みに持っていかないかぬと思います。

その意味では、一番みんなが分かりやすい問題、エネルギー問題、エネルギー政策、これは結構みんなが関心持って参加してくれますからね、まずはそういった分野から政策段階の、あるいは計画段階のアセスメントやっていくことが私は実際に可能だと思っております。
十数年前にそういった試みありましたよね。
その場合にも公開の議論でやっていったでしょう、市民が参加して。
まさに、ああいう仕組みをやればいいアイデアが出てくると思います。

○山本太郎君
ありがとうございます。
附帯決議というかなり、法的拘束力はないけれども非常に重要なものに対して、30年間、事実上放置されているという現在を考えるならば、すみません、オスプレイというものに関して、政府の行為まで縛るということまではかなりハードルが高いので、まずは一歩一歩進めていくべきだというご意見だと思いますけれども。
参考人の方から何かご意見があるようなので。

○参考人(原科幸彦君) 
今政策で、もう1つは土地利用です。
土地利用計画に対し、これも身近な問題ですからね、これがものすごい重要です。
つまり、今、規制緩和、規制緩和で容積率の緩和とかがありまして、どんどんどんどん都心にビルが建っていくでしょう。

その結果、首都にどんどんどんどん人口が集まってきて、首都直下型地震が起こった場合に大変リスクが高い状況になってしまいました。
東京の23区の密度はとても高いんです。
ニューヨークの2倍、3倍ですから、ものすごい高いんですよ。
だから、地震が起こった場合に大変なことになりますので、そのとき、どうしてこういうことが起こったかというと、土地利用規制変えるときにしっかりした政策アセスメントやっていないので、審議会で短い期間で決めちゃうんですよね。

だから、ここに政策アセスメントを入れれば、計画段階ですね、だから土地利用計画においてアセスメントやれば、これは変わっていきます。
そういうSEAやれば、本当に持続可能な社会つくる方向に行きますね。

今、全国の、地域分権化と言っていますけれども、全国の国土全体を均衡ある発展というのであれば、東京にこれだけ集中するような構造を変えなきゃいけないんです。
今、逆を行っているでしょう。

土地再生って2000年頃から言い出しまして、どんどんどんどん土地利用を緩和してきたんですよ。
そうすれば、そこにどんどん、東京、立地しますよね。
だから、地方からどんどん東京にどんどん吸収されちゃう。
その構造を変えるって、やっぱり政策や計画、問題になるんですよね。

それで、国民がそれにアクセスするには計画アセスメントしっかりやる、SEAがあることによって私は変わっていくと思いますね。
これ大変重要なところだと思います。

○山本太郎君
ありがとうございました。
続いて、阿部参考人に。
政府は、電力会社が1つの原子炉の廃炉を決めてほかの場所に新規で原子炉を建設する場合もリプレースと認めるという方針を示しています。

原発についてはそもそも廃炉に数十年かかるわけですから、同じ場所での建て替えは基本的に不可能です。
事実上は原子炉の新増設であり、このような新増設に対してリプレースと認めてアセスを緩和することは、アセス制度の骨抜きにつながり、許されるものではないと考えております。

建て替えに際するアセスメント規制緩和の対象に原発を除外しない今回の法改正というのは私は間違っているんじゃないかなというふうに思うんですけれど、阿部参考人のご意見聞かせていただいていいですか。

○参考人(阿部聖哉君)
今回、火力発電所のリプレースと、それから最近少しずつ増えている風力発電所のリプレース、紹介させていただきました。
地熱発電所についても3件ほどアセス法でのリプレースあるんですが、残念ながら、原子力に関しては、これまでにリプレースという建て替え事業の案件がございません。
ですので参考にできるような情報がなくて、恐らく委員が言われたようないろいろ懸念事項等あると思っております。

今後、政令でどこまでをリプレースと認めるのか、風力でも恐らく別の尾根に建てるような事業ではリプレースとは認められないというようなお話ししたと思いますけれども、そういった形でいろいろ定められていくと思いますので、原子力につきましては、いろいろご専門お持ちの方、いろいろ専門家の方いらっしゃると思いますので、そういうところで十分に議論をして、そこら辺の懸念が生じないように検討していく必要があるかなと思っております。

○山本太郎君 
リプレースという名を借りた新増設ということが行われることが非常に懸念であると。
当然、解体していくまで、廃炉にするまでがとてつもなく時間がかかるということを考えるならば、風力などとは比較できるものではない。

風力であるようなものであるならば尾根を変えてということの発想はあるかもしれないけれども、原発に関しては完全にその場所、その近くでは無理な話ですから、これはそもそものものから除外しておくというようなことを考えておかなければいけませんけれども、これが前に進めば当然政令ということになってしまうと。

政令に関しては私たち手を付けられないという状況なので、少し悪質な私は進め方ではないかなというふうに懸念をしております。
ありがとうございます。

続きまして、室谷参考人にお聞きします。
これ、住民説明会の対象範囲が非常に狭いであったりですとか、現行の環境アセス行政における地域住民や自治体のアセスのプロセスへの参画の在り方についてという意味でお聞きしたいんですけれども、洋上風力の推進区域設定などではアセスに地元住民、自然保護団体が参加できていないという批判もある。
環境アセスメントに地域住民の参画を保障するには、どのような法整備必要でしょうか。

○委員長(青山繁晴君) 
挙手をお願いします。

○参考人(室谷悠子君) 
住民説明会に関してはかなりいろいろな問題があって、環境影響評価法ではないですけど、再エネ特措法でもかなり範囲が狭いというような問題であるとか、地域住民しか認めないということで身分証の提示を求めるというようなこと、あと、専門的な話になるのでどうしても専門家のアドバイスというのは必要で、専門家を同席させて説明を聞くというようなことは不可欠であったりもするんですけれども、そういうことももう事業者の裁量に任せられているというような中で、住民としてはきちんと得たい情報を質問をして得られないというような、そういう問題が生じています。

特に、洋上風力については、特別法が制定されたことによって、自治体の主張はその協議会の中に入るんですけれども、住民自体はその協議会の中に反映できないので、説明会はされるんですけれども、その意見が反映される、その計画に当たって、そういう法的な地位を住民は有していないということになります。

風力発電についても、その他の事業においても、やっぱり住民の生活にかなり影響を及ぼす開発が環境影響評価の対象になるということなので、その環境影響評価法でするのか条令等でするのかは別として、きちんと住民の意見を反映させるようなことを明記をした制度というようなことが必要ですし、住民説明会でも、その事業者の恣意的な判断によって本当に狭い住民しか

○委員長(青山繁晴君) 
時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

○参考人(室谷悠子君) 
はい。
入れないというような説明会しかできないのであれば、もう法で規制してしまうということもあり得ると思います。




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