国会活動
2014.3.17内閣委員会「小児甲状腺がんの遺伝子検査をなぜしないのか、川内原発再稼動で燃料費はいくら縮減されるのか、原発作業員の健康調査について」
2014年03月20日
○山本太郎君 政党要件は満たしておりませんが、新党今はひとり、山本太郎と申します。よろしくお願いします。
まず最初に、前回の質問の続きをさせていただきたいんです。環境省に、福島県民健康管理調査について質問します。
小児甲状腺がんとがんの疑いのある子供たち、これ七十五人ということになっておりますけれども、この子供たちが放射線被曝による健康被害なのかどうかについて、遺伝子検査、検討するという報道が流れました。その事実というのはあるんですかね。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えします。
報道等で流れておりましたものについてのお尋ねかと思いますが、福島県の県民健康管理調査におきまして遺伝子検査は行われておりません。
ただ、福島県立医大におきまして、これまでもがんの発がんのメカニズム等の研究が行われてきておりまして、甲状腺がんについても、遺伝子レベルでの発がんメカニズムの研究が行われているというように承知をしております。
○山本太郎君 今までの研究の延長線上で行われているのみということでいいですか。
○政府参考人(塚原太郎君) 私どもが承知している状況によりますと、今回、福島県の県民健康管理調査でがんということで手術をされた方の、がんのその手術をした組織を、がんの組織とそれからがんになっていない部分の組織とを遺伝子の検索をするというふうなことが、県民健康管理調査という位置付けではなくて、大学の固有の研究活動の中で実施をこれからされるということだということで承知をしております。
○山本太郎君 県民健康管理において、どうしてそれをやろうとしないんですか。
○政府参考人(塚原太郎君) 県民の健康管理調査においては、三年前に県の方で設置をされました検討委員会において、甲状腺におきましては全員に超音波検査、子供、お子さんですね、全員に超音波検査をされて、その結果、精密検査が必要だという方には精密検査をする、必要に応じて治療が必要であれば手術をするというふうな流れになっておりまして、手術をした方の甲状腺の組織を遺伝子学的に検索をするというところまではその委員会の中で議論はされていなかったというように承知をしております。
○山本太郎君 申し訳ないですけれども、ほかの検査の話は今していないんです。遺伝子検査をなぜやらないか、そしてこれからやるつもりというものはないんですかね。
○政府参考人(塚原太郎君) 理由につきましては、そういういろんな議論、専門家の方々が入られた福島県の検討委員会の中で議論した結果、必要なことをするということで今の健康管理調査の内容になっているというふうに承知をしております。
○山本太郎君 県立医大の元々、元々というか、県立医大はもう今外れましたけれども、山下俊一先生、そして鈴木真一教授、この方々も百万人に一人、二人という話をこの甲状腺の話でされているわけですよね。そこで、七十五人という数が、がん若しくは疑いがあるという数が出てきていること自体がもう異常事態だと思うんですよ。遺伝子検査という部分において、どうしてやらないのかが物すごく不思議だなと思うんですよね。
で、この県立医大という部分において、そこの今までの遺伝子検査の延長線上でしかやらないというところもますます不思議で、この件について本当に被曝の影響があったのかなかったのかということをはっきりさせるためには、国内だけじゃなくて海外の機関、ドイツであったりとかそういう部分にも普通はダブルチェック、トリプルチェックという、する必要があるんじゃないかなと個人的に思います。
今日のこの件に関してはこれ以上ちょっと時間がないのでしゃべれないので、またお聞きしたいと思います。ありがとうございました。
続いて、菅官房長官にお伺いしたいと思います。
先日、フリップをたくさん出したので、今回、反省しまして、四枚になります。こちらです。(資料提示)
二〇一二年十二月二十五日の自公連立合意文書におきまして、原発・エネルギー政策について、「原発の再稼働については、国際基準に沿って安全第一主義を徹底した原子力規制委員会の専門的知見の判断による。同時に、省エネルギー・再生可能エネルギーの加速的な導入や火力発電の高効率化等の推進によって、可能な限り原発依存度を減らす。」、このようにあります。安倍政権の方針、可能な限り原発依存度を減らすということで間違いありませんか。
○国務大臣(菅義偉君) 御丁寧に、この私たち自由民主党と公明党の連立政権の合意、今見させていただきましたけれども、まさにそのとおりでありまして、可能な限り原発依存度を減らすということはそのとおりです。
○山本太郎君 先ほどの自公連立合意文書の中に書いてある可能な限り、この可能な限りが可能とならない場合、どういう場合に原発に依存しなければならないのか、官房長官、御説明お願いできますでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) まず、この自公の合意文書に書かれていますように、原発の再稼働というのは、世界で最も厳しいと言われるこの安全基準、そこを規制委員会でまさに専門的知見の判断による限り、それに合格しない限り、まず原発は稼働しないということであります。同時に、省エネ、再生可能エネルギーへの、書かれているとおりでありまして、この合意を最優先して行うということであります。
その中で申し上げれば、再生可能エネルギー、これについては三年間集中的に導入を加速をさせると。それと同時に、徹底した省エネ対策、このことを実は行って、まさにそうした社会を実現をしようということが大前提であります。その上で、原発依存度は可能な限り低減をしていきたいと。
原発に関して申し上げれば、東日本大震災のこの原発事故以来、我が国は新たなエネルギーの制約にこれ直面していますよね。そういう中で、化石燃料の依存度がこれは増加しています。それに伴って、この燃料費の増加、さらには電気料金の上昇、CO2排出量の増加など、こうしたことが問題に今なっております。こうした状況にあって、例えばあらゆる面で安定供給、あるいはコスト、環境負荷、さらに安全性、そうした面において優れたエネルギー源はこれ現実的にないということもこれ事実だというふうに思います。
そういう中で、まさにバランスの取れたエネルギーのベストミックス、ここをつくっていくというのが基本政策でありまして、この依存度は、こうしたエネルギーのミックスの実現する中で、まさにこの再稼働も含めて原子力というのは低減されていくという、そういう責任ある政策を行っていきたいと思います。
○山本太郎君 丁寧に説明していただいてありがとうございました。
鹿児島県内の川内原発一号、二号が原子力規制委員会によって優先審査されること、三月十三日に決定しました。川内原発一号、二号を再稼働しなければならない理由、川内原発一号、二号に依存しなければならない理由は一体何なのか、説明してください。
○政府参考人(高橋泰三君) お答え申し上げます。
原子力発電につきましては、官房長官から御答弁ございましたように、安全性を最優先にし、独立した規制委員会の新しい規制基準の判断を基に進めていくということでございます。
それで、原子力発電所を活用しなきゃならない理由という御下問でございますけれども、こちらにつきましても、官房長官から御答弁がございましたように、三・一一以降、我が国はエネルギー制約に直面をしてございます。化石燃料の依存度が増加していること、それから既に電気料金も相当程度上がってきていること、それから電力需給につきましては、今何とか不足を回避しておりますけれども、これ、発電所の定期検査の繰延べとか、あるいは老朽火力をフル活動させているというそういう状況もございます。引き続き予断を許さない状況が続いてございます。また、地球温暖化という面に関しましても、CO2の排出量が日本の総排出量の約九%、一・一億トン増加をしているという状況でございます。
こういう状況の中で、政権といたしましては、官房長官から御答弁ありましたように、最大限可能な限り原発を依存度を低減させていくということでございますけれども、原子力発電については、原子力規制委員会の判断に基づきまして、それによって確認されたものについては再稼働を進めていくということでございます。
なお、九州電力が具体的に川内原子力発電所を活用するということにつきましては、これは九州電力の判断でございますし、また、それについての安全性については規制委員会の判断ということでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
この川内原発一号、二号が稼働すると、火力発電の燃料費、これ、経済的な問題だということも聞こえてきますけれども、火力発電の燃料費が幾ら安くなるのか。石油、LNG、石炭、電源ごとに幾ら安くなり、合計幾ら安くなると計算しているのか、簡潔に御説明ください。
○政府参考人(高橋泰三君) 川内原発一号、二号機が再稼働した場合の燃料費の削減効果でございますけれども、これ、電力需給の状況とか電源構成によって変動し得るものですので、政府として具体的な数字をお持ちはいたしておりません。
ただ、私どもで一般的に試算をいたしました例がございまして、これは昨年の十月に総合資源エネルギー調査会需給検証委員会におきまして、仮に百万キロワットの原子力発電所が一基再稼働した場合に、火力の燃料費は年間で約九百億円削減されると試算してございます。なお、川内一号機、二号機共に八十九万キロワットということでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
この原発の問題を話し出すと、経済の問題、そして電力の需給の問題という話に行くと思うんですけれども、先ほど御発言の中で火力発電所、これ、老朽化したものをフル回転しているんだよというお話ありましたよね。確かにそうなんですよ。九州電力管内、LNG、石炭、石油、そのような火力発電は多数あるんですけれども、石油等火力発電所、全部で十三基あるんですね。そのうちの稼働四十年を超えたもの、八基もあるんですよね。じゃ、どうしてこの何年間の間にもっと新しいものリプレースしていかなかったのかって。四十年も稼働を超えているものがそこに存在していて、で、電力需給の問題だと言われても、ちょっと納得がいかない部分があるんですね。なぜリプレースしないのか。ガスコンバインドだったりとか、そういうものにどうして変えていかなかったのかということも問題点としてあると思います。
それだけじゃなくて、佐賀県の唐津には長期停止をした火力発電所二基ございます。これ、八十七万五千キロワットに相当するものですよね。ここら辺がちょっとよく分からないなと思うんですよ。それだけじゃないです。九州電力、去年の夏のピーク時だけ、ピーク時、真夏の一番暑い時間帯ですよね、四・三%の予備率。四・三%の予備率ってどれだけかといったら、七十万キロワットだよって。ああ、そんなに余っていたの、電力は足りているんだ、はっきりしているよね。その上、他の電力からの融通、これにもまだ余裕があると思うんですよね。電力不足の心配はないと。川内原発一号機、二号機はそれぞれ出力、先ほどもおっしゃいました、八十九万キロワットですよって。これがなかったとしてもやっていけてるし、実際余っていたという事実があるんだよという話なんですけれどもね。
鹿児島県と日本全体にとってこの再稼働、川内原発の再稼働は本当にリスキーなものだと思うんです。安全審査と申しますけれども、安全性、誰が担保できるんですかって。福島東電原発事故の事故、真相、誰が知っているんですかって。原因分かったんですかって。対策、対策、それ取られたんですかって話ですよね。何も分からない、漏れっ放しだって。
じゃ、電力は足りているのに、どうしてわざわざ原発に依存しようとするのか。これ、電力会社の経営の問題だけじゃないですか。一年間原発を止めたらどれぐらい電力が掛かるんですか。九州電力の有価証券報告書、平成二十四年の四月一日から平成二十五年の三月三十一日まで一年間原発が稼働していない状況で掛かるコストどれぐらいなんですか、千三百二十六億円ですよって。動いてなくてもお金掛かるんだね、随分って。これ動いてなくても電力は足りているんだから、これをわざわざ動かそうとする理由が分からないということだと思うんですよね。
この件に関してはすごく時間が掛かると思うので、また改めて、どんな意見にでも耳を傾けてくださる菅官房長官を中心にいろいろお話を聞いていただきたいと思います。ありがとうございました。
続いて、もう時間がないんですけれども、前回のこの委員会で質問し、時間切れになったグローバー勧告の質問の続きをやらせていただきたいと思います。
もう何度も登場しましたけれども、一週間前、一週間もなかったでしたっけ、この方です、グローバーさん。インドの人権そして健康に関わる専門家ですね。弁護士さんでもあられます。二〇一二年十一月に国連の専門家として来日されたと。そして福島などへの視察調査をした上に、二〇一三年五月、国連人権理事会として日本政府に勧告を出しましたよということなんですね。このグローバー特別報告者、この方は、日本も批准している国際条約である社会権規約第十二条一項、いわゆる健康に関する権利に基づき、福島東電原発事故による影響を受けた人々が果たして人間らしく尊厳のある扱いを享受できているかを二週間にわたり調査をされ、勧告を出したという話だったんですよね。
そして、この間の続きなんですけれども、こちらです、原発労働者についてお聞きしたいと思います。
グローバー勧告七十七項の(k)、原発労働者についてです。原発労働者に対し、健康影響評価を実施し、必要な治療を行うこと。政府はどのように対応しておりますでしょうか。
○政府参考人(半田有通君) お答えします。
原発での作業を含む放射線業務に従事する労働者につきましては、既に法令に基づきまして必要な健康診断を六か月ごとに実施することを事業者に義務付けているところでございます。健康診断の結果に基づきまして、医師が必要と判断した場合には必要な治療が提供されることとなります。
また、このお話の東電福島第一原発でございますが、この緊急作業に従事された方々につきましては既に厚生労働大臣指針を出してございまして、これに基づきまして、事業者に、緊急作業期間中における被曝線量に応じまして、法定の健康診断に加えましてがん検診などの追加検診を実施するように求めております。
これらの皆さんが退職なさった後につきましては国が実施することとしておりまして、それらの検査の結果、医師が必要と認めれば必要な治療が提供されると、こういうことになってございます。
○山本太郎君 退職された後に国が面倒を見ると言っているのは、それ正社員として雇われた人ですよね。違うんですか。全ての労働者にその権利があるわけですか。
○政府参考人(半田有通君) 緊急作業従事者の方々の全てでございます。約二万人おられますが、その方々が対象となります。
○山本太郎君 ありがとうございます。
先日の朝日新聞、原発作業員三万人のうち、およそ一万五千人の方々が五ミリシーベルト超えの被曝をしていることが報道されました。これ、以前、平成二十三年ですよね、年間の五・二ミリの被曝で白血病、作業員が労災認定された数値ですよね、年間五・二ミリというのは。年間五ミリシーベルト超えが一万五千人いるという状況なんですけれども、全ての原発作業員の方々が健康管理調査を実施できるようにしていただきたいんです。いかがお考えですか。
○政府参考人(半田有通君) 先ほど申し上げましたように、緊急作業上の被曝限度を事故収束に向けて一時的に引き上げておったということがございました。そういったこともございまして、この指針に基づきまして、通常の放射線の業務の被曝限度でございます年五十ミリシーベルトという限度がございます、これを超えた方に対しては、先ほど申し上げたようながん検診などを実施するとともに、離職後は国がそうした措置を実施するということにしているわけでございますが、一方、通常の放射線業務ですね、この被曝限度内である年五十ミリシーベルトということにつきましては、やはり基本的には事業者の方が通常の放射線業務と同じく健康診断を行っていただきたいと、そういうことでやっていただきたいと考えております。
○山本太郎君 年間五十ミリを超えた方々に対してそのようなことがされているという話なんですね。
けれども、やっぱり過去から学ぶ必要があると思うんですよね。被曝には個人差があって、それぞれのライフスタイルによってもどのような影響を及ぼすか分からないというところがあるならば、以前、平成二十三年に年間五・二ミリで白血病で作業員が労災認定されたという事実があるんですから、それをもっと、五十ミリと言わずそれをどんどん下げていって、現場にいらっしゃった方々には全て、その職場から出た後も追って健康調査が行われるような形にしていただきたいんです。
ちょっと時間がないんですけれども、アンケート、実施されましたよね、原発の作業員の方々に対して。そのアンケートなんですけれども、どうやって回収しているのかといったら、元請が責任者になっていて、下請、上位の下請、元請というふうにどんどん回収されていく。プライバシーが守られていないんですよね。どのような実態でみんなが働いていてどんな不満があるかということを本当に声を吸い上げるならば、意見の回収箱などを作っていただきたいと思います。是非お願いします。
ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。
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