山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動


○山本太郎君
れいわ新選組、山本太郎です。
大臣、日本国として世界と約束した環境保全を実現するためには、本法案は必要であるということでいいですよね。イエスかノーかでお答えください。

○国務大臣(伊藤信太郎君)
イエスです。

○山本太郎君
ありがとうございます。大臣、次も、申し訳ないんですが、当たり前過ぎることを聞いちゃって、お答えいただければと思います。これまで日本の環境行政で使命とされてきた認識は、大臣ももちろん引き継いでいくということでよろしいですよね。エスかノーかでお答えいただけますか。

○国務大臣(伊藤信太郎君)
はい。

○山本太郎君
ありがとうございます。イエス、はい、様々なお答え方で、感謝いたします。

資料の②。

過去50年間、日本の生物多様性は損失し続けている。
これは、環境省の資料、生物多様性及び生態系サービスの総合評価2021に示された現状認識です。
埋立てや開発、森林伐採などで生物の生息環境を破壊、生物多様性は失われ続けてきました。

資料の③。

例えば、2017年公表、環境省版海洋生物レッドリストにおいて、絶滅危惧種及び準絶滅危惧種を合わせると200種以上がリストアップ。98年発行、水産庁のレッドデータブックより100種以上増加しています。
つまりは、各生態系、森林、農地、沿岸、海洋等の構成要素の減少や生息・生育環境の変化など、生態系の規模や質の低下が現在も継続していて、その環境に生息、生育する生物の種類、個体数の減少傾向は変わっていないと。
2010年、愛知県で開催、生物多様性条約締約国会議で設定された戦略目標、20項目のうち、完全達成はゼロ、部分的に達成とされるものの6項目のみ、6項目のみ。
そのような状況で、陸域、海域共に30%以上を保護区にするという更にハードルを上げた目標を設定されているわけですね。
これを受けて環境省は、里地里山の保全を進めるということで、生物多様性の保全が主目的ではない管理が結果として生物多様性保全に貢献している地域などについて、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域と認定し、30%の目標達成を目指すとしていると。
民間活力も使って保護区を増やそうとしているのが本法案の趣旨だと思うんですけれども、それで現状を止められるのかなというのを少し疑問に思ってしまうというところでございます。
資料の①。

例えば南アルプス、2014年、生物多様性実現のためのモデル地域としてユネスコエコパークに指定されました。 南アルプスでは、90年代末から高山帯の植物の鹿による深刻な食害が報告されている。当時、高山植物の花が咲いていないという報告が寄せられたが、僅か10年で南アルプス南部全体に被害が広がった。

資料⑤。

それにより、標高3052メートル、塩見岳付近では、高山植物の群落が消失。これら高山植物を餌とするライチョウ、高山チョウの減少にもつながるリスクが高まっている。この10年でも鹿による高山植物の被害が深刻化、これは環境省も認めていますよね。

資料の⑥。

鹿による食害の危険状況を4段階で示されていますけれども、10年前の2014年の前までは最低のレベル1判定で2015年以降年以降、標高1600メートルから2400メートルの亜高山帯に被害が及ぶレベル2に進展。
近年では、亜高山帯で一部消失、更に標高の高い高山帯に被害が及ぶレベル3近くなったと環境省担当者が評価をしています。
資料⑦、⑧。

2023年、静岡県の南アルプスのお花畑とニホンジカ食害対策で、草花の咲き乱れるアルプスの高原が荒涼とした砂地に変わった様子が確認できます。1986年、標高約2200メートルの聖平では、ニッコウキスゲを主体とする植物群落が成長していた。2005年の同じ場所の写真では、ニッコウキスゲは大部分で消失、砂地が広がり、土壌が流出。1979年、標高約3000メートル、塩見岳では、シナノキンバイやハクサンチイゲなどが咲き乱れる南アルプス最大級のお花畑があったそうです。2011年の写真を見てみると、植物が消失。これ、全く違う景色になってしまっているんですね。これ、このままでは回復は困難だよね。これ、一目瞭然です。 ニホンジカの生息域は本来低い山とも言われますけれども、なぜ標高の高い地域で食害が広がったか。
資料の⑨。

温暖化影響も指摘されるところですけれども、環境省関東地方環境事務所は、大きな原因の1つとして、私たち人間がニホンジカを捕らなくなったため、個体数が増え、生息域を里山から高山帯へ広げていると、人間による活動の影響を認めています。
南アルプス周辺の県では、ボランティア団体と自治体が連携して鹿を高山地帯に入れない、入れない防護柵を設置する、猟友会などと協力してニホンジカの捕獲数を増やすなどの取り組みを行ってきました。
世界的にも貴重な南アルプスの自然環境を守ろうと無私で働く、それらボランティア団体や猟友会の方々の取り組みは大変高く評価されています。
資料⑩。

例えば、静岡県の南アルプス高山植物保護ボランティアネットワークは、平成21年、高山植物保護活動の功績が評価され、自然環境功労者環境大臣表彰を受賞しています。これらボランティア団体や民間の高山植物保護の取り組みを表彰することには、私は何の異論もございません。大変重要な取り組みだと思っています。しかし、この生物多様性法案の理念を実現する観点から見てみると、ボランティア団体の取り組みに感謝し、表彰するということだけでいいのかという疑問も生じるんですね。南アルプスの自然保護、特に拡大する鹿による食害対策に関わる専門家たちは、保全活動を継続、拡大するための資金難の問題を指摘されていらっしゃいます。

資料⑪。

令和4年4月開催、静岡県第1回南アルプスを未来につなぐ会理事会で、理事のお一人は、動植物被害状況の実態調査の担い手が不足している、南アルプスの保全資金の不足を指摘していらっしゃいます。
資料⑫。

環境省は、高山帯の草本だけでなく、亜高山帯の森林保全に力を入れるべきとする専門家の意見に対して、当面は草本に焦点を当てたい、担い手や資金不足のため対策が限定されると、資金や担い手の不足から対策が限定されている現実というのを認めているんですよね、この時点でも。
資料⑭。

本州以南のニホンジカの個体数は、90年頃50万頭以下であったのが、近年200万頭を超えて高止まり。
今回の法案、自治体や民間団体の自然保護活動を認証して、資金集めの後押しをする狙いがあると思うんですけれども、でも、これで資金を集めやすいようにしてあげるね、看板は渡してあげますと、でも、財政問題自分たちで解決しろというような状況じゃないですか。
保全活動をそれで応援していますからねって、これ丸投げに近いなと思っちゃうんですよ。もちろん、今回の法案以外にも生物多様性保全に取り組む民間団体への支援策は存在しています。例えば、生物多様性保全推進支援事業では、金額でいけば事業費の2分の1以内、あるいは保護対象植物1種当たり上限200万円など、期間では原則2年から3年以内などの制限を付けて、民間団体の活動に交付金を出しているんですね。環境省に、南アルプス国立公園に隣接する3県で、令和元年以降交付が認められた団体数と交付対象事業ごとの交付金額はと聞くところだったんですけれども、事前にいただいた答弁ぶりが非常に長かったので、これちょっと自分で言うしかないなと思うので、ちょっとはしょって私が言いますね。これ、資料の⑮にもありますけれども、自治体以外の民間団体への交付は5団体のみ。

南アルプス保全に直接関係するのはその一部、この資料から確認できる限りでは2件のみ。期間も、1年から長くて3年程度の交付にとどまっていると。金額も非常に少ないんですよ。1000万単位、多分最高で3000万円単位のものもあったけれど、たった1件、それ以外は数百万円か数十万円が数件。これでどうやって自然守っていくんだというような状況だと思うんですね。
長期の活動を安定的に支える交付金になっていない、ボランティア団体頼り、担い手不足、資金不足で対策が限定されるという問題は、これいつまでも続く話になっちゃうということなんです。
今、南アルプスの自然保護に取り組む人たちが2030年まで継続して活動できるのか、次の世代の担い手を確保して、本当に持続可能な保全活動につなげられるか、そう考えたときに、心もとないという言葉以外に見付からないんですよ。
このままでは、法案の理念、そこに掲げられている、2030年までに陸と海の30%を保全することなんて不可能なんじゃないかなと思っちゃうんですよ。
昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択されたのは2022年の12月、それから本法案提出まで1年以上の時間があったわけですよね。これ、一番大きなネックは保全の先頭に立つ人々の資金不足であり、それによって対策が限定的になっている。これ、環境省、それ認識しているのに、国からの財政措置を行わない法案というのを今審議しているってどういうことなんですかということお聞きしたいんですけど、何か答えがある方いらっしゃったら教えてください。

○政府参考人(白石隆夫君)
お答え申し上げます。
生物多様性の保全推進事業交付金、金額が少ないじゃないかというご指摘は真摯に受け止め、増額に努めたいと思っております。いろいろ、鹿の食害等に関しては、民間ボランティア任せということではなく、例えば民有地等でいきましたら、指定管理鳥獣でございますので、指定管理鳥獣の交付金、これも補正合わせて25億円ございますので、そういう中で鹿の対策を取っております。また、国立公園の中におきます鹿の食害対策についても、別途直轄の事業として、国が生態系回復事業ということで事業は実施させていただいておるということはあります。確かに民間資金への交付額が少ないという指摘は、謙虚に受け止めたいと思っております。

○山本太郎君
すみません、私の質問が分かりづらかったかな。
今、何でしょう、この30by30(サーティー・バイ・サーティー)というものをちゃんとクリアできるようにということのやっぱり非常に重要な法案として提出されているという認識なんですね。
でも、そこに対して財政で支えるという部分に関してはこの中には含まれていないと、今のところ、というところに関して、これなぜなんですかと、先立つものがないのに、この先もお願いしますね、皆さん、善意でやってくださいというのはおかしいじゃないかということです。民間活力を利用しながらと言うけれども、現場でやっている人たちに金集めまでさせるのかという話になったら、これ結構酷な話ですよということです。
いかがですか。

○政府参考人(白石隆夫君)
お答え申し上げます。
本法案は、民間NGO、企業等による、生物多様性に富んだ土地を保全をするという活動を認定し、それによって、まあ何というか、制度的な後押しをするということを内容としてございます。
インセンティブとしてのそのいろんな支援策が足りないじゃないかという話は各所からご指摘を受けております。そこに関しましては、法律を成立を踏まえて、施行を目指して充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

○山本太郎君
これ決まった後に先々そのお金の話はしていったらいいんじゃないか、検討していったらいいんじゃないかと言っているんですけど、これ、時間がたっぷりある人たちの構えなんですよ、それって。期限切られてるんですよね、これって。
これってまた、2010年の愛知みたいに、20項目の宿題が出ていたのに1つも達成できていません、で、結局、部分的には6項目はできたかもしれないね、ちょこっとみたいな話でまたこれ落ち着くんですかって。
前にもできてないのに、また新たに設定目標高くして今回これ出してって、そこに重要である財源さえも付けてあげないって、これ、ちょっと首ひねるものだなというふうに思っちゃうんですよ。
じゃ、逆に聞くと、30by30(サーティー・バイ・サーティー)というもの、これ、目標達成するまでにどれぐらいのお金が必要になるかということは、ある一定のめどは立っているんですよね。
どれぐらいですか。

○政府参考人(白石隆夫君)
お答え申し上げます。
30by30(サーティー・バイ・サーティー)の実現のために幾らお金が掛かるかということに関しては、試算はしておりません。

○山本太郎君
じゃ、この生物多様性というもの、これをしっかりと保全していくという部分に関してはどれぐらいの規模感で考えていらっしゃるんですか。

○政府参考人(白石隆夫君)
お答え申し上げます。現時点ではそのような試算は持ち合わせておりません。

○山本太郎君
順番おかしくないかって話なんですよ。
だって、全体像を見た上で、どれぐらい掛かるだろうってことを逆算していきながら法案出していったりとか進めることって決めていくべきなんじゃないですか。実現のために必要な財政規模も答弁できていない時点で、もう詰んでいるんですよ。
これ達成できないですよ、これじゃ。目標達成に向けて全体像を鑑みて作られた法案ではなく、やっている風を演出するための法案じゃないかって言われても仕方ないんですね。南アルプスには国立公園が設定されていますが、この国立公園の中だけで食害対策を行っても、鹿の被害はその外に広がっていくことになる。国立公園の仕組みが貴重な植物保全対策に有効ならば、貴重な植物種が生息する周辺地域に大幅に拡張していく必要もあります。
資料⑯。

22年6月、環境省は、ライチョウやチョウ、高山植物など希少な動植物の保全を強化するためで、2030年までの拡張を目指すと発表されているんですね。じゃ、例えば南アルプス国立公園はいつまでにどれぐらい拡張されるんですかって聞くところなんですけれど、ちょっと時間の問題で私が言います。環境省の答弁は恐らくこんな感じなんです。
2030年に向けて順次拡張等を目指すが、これ以上の具体的な見通しは未定。あの、ごめんなさい、今、2024年なんですね。あと6年で陸の30%保全するんでしょうって。このペースじゃ無理ですよって。自治体や市民団体などからの南アルプス国立公園拡張の要望を早急に検討して反映して、拡張計画を示すべきだと思います。それに加えて、保全と逆行する事業は見直しが必須です。
リニアです。
資料⑰。

静岡県民がリニア建設に反対してきた大きな理由の1つが、南アルプスの生物多様性を維持できなくなるという懸念。リニア計画では、南アルプスエコパークを突っ切るトンネルを掘り、エコパークど真ん中にあるこのカラマツ林を伐採、掘削からの残土、東京ドーム50杯分をそこに積み上げるというむちゃくちゃな計画。
資料⑲。

2022年、JR東海との対話。
県側が、トンネル掘削により、トンネル付近では300メートル以上の地下水位が低下する予測、これによる椹島より上流部での生態系への影響を懸念、影響を更に回避、低減する努力が必要と指摘。それに対して、JR東海側の答えはどんなものだったか。
影響は回避できないので、代償措置で対応と返答している。いや、回避せなあかんやろってことなんですよ。
資料の⑳。

リニア計画に関する環境大臣の意見。南アルプスのユネスコエコパーク登録は、2014年6月12日。
その直前、6月5日、リニア建設の環境影響評価書について、法に基づき、国交大臣からの照会に応じて当時の環境大臣が意見を提出されました。この意見書で環境大臣は、リニア建設事業が南アルプスに大きな影響を与えることは避けられないと認めている。そして、土地改変を最小限にすること、追加調査、保全策の徹底や事後調査の実施などを求めたということなんですけれども、この意見書で、環境大臣は、南アルプスの自然を守ることは我が国の環境行政の使命ともこれ言われたんですね、述べられたんです。
大臣、これ、30by30(サーティー・バイ・サーティー)実現すると熱意を燃やされる大臣、南アルプスの自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命でもあるという過去の認識を引き継がれると、先ほど過去の環境行政の引継ぎ、認識は引き継ぐということに対して、はいとおっしゃってくださいましたけれども、このような、南アルプスの自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命でもあるという過去の認識を引き継ぐ伊藤大臣として、ユネスコエコパークである南アルプスやそのほかの地域でも生物多様性に損失を与えているリニア建設、これ認められないと言わなきゃいけない場面なんじゃないですか。
少なくとも今の計画に関しては確実に影響及ぼしている、しかも回避できないということを堂々とJRが開き直って言っちゃっているんですよ。
この件に関してしっかりと、そのままじゃリニア建設は断じて認められないぞということを環境大臣の立場として是非断言していただきたいと思うんですけど、いかがでしょう。

○国務大臣(伊藤信太郎君)
委員ご指摘のように、環境省は、環境影響評価法に基づき、平成26年に提出された評価書に対して、国土交通大臣へ事業者が十分な環境対策を講じるように適切な指導を行うこと等を求める意見を提出しました。
リニア中央新幹線による影響については、国土交通省における適切な指導の下、事業主体であるJR東海において関係自治体との調整の上、適切な環境保全措置が講じられるべきものと考えてございます。
国土交通省において、水資源や環境保全への事業者の取り組みについて、科学的、客観的観点からその状況を継続的に確認するため有識者会議を設置していると承知しており、引き続きその議論を環境省としても注視してまいりたいと思います。

○山本太郎君
大臣、駄目ですよ、それ。国交省、全然ブレーキになっていないんですよ。
JR、開き直っているんです。進み出したらこっちのもんだということで、もう逆に居直り強盗みたいなことやっちゃっているんですよ。
環境影響、これ、できる限り回避しなきゃいけないということでこれ県側とやってきたのに、影響を回避できないから代わりのもので埋め合わせるわというような開き直りをしちゃっているんです。
これ、非常にまずい。どうしてか。
2014年の環境大臣意見言われた中で、南アルプス国立公園及び拡張予定地の影響、これできる限り回避することと言っているんだけど、回避するつもりないんですよ、もう。それを考えたときに、やっぱり環境大臣の出番なんですよ。もう一度、国交省と事業者に対してしっかりと活入れなきゃ駄目なんです。
このままじゃリニアのことは認められないからな、環境面では絶対これ無理だ、国際約束にほごすることになってしまうというようなことをやっぱり突き詰めなきゃ駄目だと思うんです。
いかがでしょう。

○委員長(三原じゅん子君)
時間が来ておりますので、簡単にまとめてください。

○国務大臣(伊藤信太郎君)
委員のご指摘を踏まえ、適切に対処したいと思います。

○山本太郎君
大変期待しております。
ありがとうございます。




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