山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動


○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。
○山本太郎君 参考人の先生方、非常に貴重なお話ありがとうございました。
れいわ新選組の山本太郎と申します。
松浦先生は防衛大学で教えていらっしゃるということで、松浦教授の、先生の2019年の論考、「日本国憲法と国家緊急事態」では、事前に法律で委任した範囲を超える対応が必要になる事態を想定して、憲法で政府に緊急命令権を与える必要性を指摘されています。緊急命令権の濫用を防ぐために、あらかじめ緊急命令の限界を定める、事前に委任事項をできる限り網羅的に整備するなど、できる限り事前に想定して制度をつくり込んでおくことも御提案なさっています。想定外の事態にも対応できるようにというのはこれはもう絶対必要なこと、私自身もそう思います。事前にあらゆる法整備も行わなければならないというメッセージは非常に重要だというふうに感じています。
実際に今、日本を引いて見てみれば、もちろん、近隣諸国といいますか、このアジアの緊張が高まっていると、どこからミサイルやロケットが飛んでくるか分からないみたいな状況も、そういうような言わば緊迫したような空気も確かにあるんですよね。そんな状態において、海岸線に原発が並んでいる、核燃料が貯蔵されている、再稼働されているという状態というのは私ちょっと矛盾しているんじゃないかなというふうに思うんです。
外からの攻撃が来るぞ来るぞと、軍備を増強しろ増強しろという空気の中で、絶賛再稼働中、そして準備中というような状況が当たり前にあると。でも、この1年ぐらいで私たちが学んできたことというのは、十分戦争のときにターゲットにされるのが原発であるということだったと思うんですね。原子力規制委員会の安全審査も、内閣府が策定支援する避難計画も、原発が攻撃されること自体が想定されてないんですよ。原発が攻撃されることも想定して、万が一にも原発が攻撃による核惨事が起きないように確実な対応を今すぐ講じるということは、これ、憲法上の責務がこれ国としてあるんじゃないかなというふうに思うんです。
これ、松浦教授、平成29年の衆議院の憲法審査会においても御指摘されたとおり、自然災害というふうに見てみても、これ南海トラフ地震による津波浸水被害だったり、東日本大震災の範囲を大きく上回ると、被害というのはもうとてつもなくこれ比べ物にならないんだということをおっしゃっていたと思うんですね、そういう趣旨のことをおっしゃっていたと思うんです。
これ、海岸線の原発、当然これ無事に済むはずはないと。これ、自然災害を考えたとしてもそうです。緊急事態に備えようというような方向で議論がされ、そして憲法改正も目指すというような状況であるならば、当然、まず、これ原発の即時停止、核燃料を早急に搬出して冷却して、国の責任、自衛隊の責任で安全管理することが私は憲法上の要請にもかなうんじゃないかな、そう思うんですけど、先生、いかがお考えですか。
○参考人(松浦一夫君) 残念ながら、私、原子力政策の専門家でもございませんけれども、全廃してという話はエネルギー政策全般にわたる問題でありますから、止めていることを前提として議論するというのは難しいんですが。ただ、山本先生がおっしゃったように、様々な、特に軍事的な目標にされるようなところに攻撃があった場合にどのように対応すべきかということはもう予想できることでありますから、それに対応した避難計画なりなんなりを整備するというのは、これはもちろんのことだと思うんですね。それで不可能であれば立法を考えるし。で、しかしながら、その一方で、この原発の問題はおくとして、緊急事態に対応する場合に人権の制限というものが常に伴ってくるわけですね。
災害対策基本法なんかでその緊急政令で委任されているものというのはほとんどが経済的自由権の制限に関わる問題がほとんどでありまして、それ以外の人権については非常に微妙な問題がありますので、なかなか触れられないというところがある。非常にその委任の範囲が狭いということがあるわけですね。
ほかにないかといってその検討を進めましても、なかなかこれ立法府が人権の制限を大幅に認めるような委任立法を行うというのは、国民の理解も得られにくいし、なかなか進まないというところがあります。
予想できるそういった危機に対応するための委任立法がもう完璧にできているというのだったらいいんですが、しかし、現状、様々な危機の状態があり、それに対応するだけのものを立法府が全部抱え込んで事前にそれを想定するということはほとんど不可能。なので、緊急事態においてそのときに必要な措置を一時的に緊急政令、まあこれは法律の委任によらない、法律と同一の効力を持つ委任命令というものを一時的に認めて、それを国会が完全な形でチェックするというやり方が最も効率的だと私は思っております。
ちなみに、私はドイツの専門家なんですが、ドイツの場合には、この委任命令のやり方を戦後やめました。やめまして、できる限り憲法の中に緊急事態の類型を全部組み込んで、あらかじめその委任政令といいますか、法規命令とドイツでは言うんですが、それに委任できることを全部法律でだあっと挙げたんですね。冷戦時代にそういうことをやったんですが、ただ、今日、サイバー戦であるとか宇宙戦であるとか、そうした新しい戦場が増えてまいりますと、もうそれでカバーできない部分も出てきている。そこをどうするかということで、今まさにその憲法の類推解釈とかいうようなことでカバーしようとしているんですね。
やはりその想定できることというのは、もうそのときそのとき頑張るんですが、だけど、新しい時代になってくると想定できないことが次々に出てくると。それをどうカバーしていくかということは、暫定的には政府に一時的に任せて、それを国会が有効にチェックするというやり方しかないのではないかと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
すぐにでも対応できる、想定されることに対してはすぐ手を打てるという状況にありながら、先ほど言ったとおり、原発に関しても、これは再稼働が進んでいくと、そのままになっている。安全保障の話になったとしても、そのことはなかったことにされてしまうというのは非常にまずい状態だなと、そう思います。
申し訳ございません。今、松浦参考人に聞いたことを長谷部参考人にもお聞きしてよろしいでしょうか。
○参考人(長谷部恭男君) 憲法によって対処する以前の問題として、いろいろ喫緊に対処が必要ではないかと思われる政策課題が様々にあるということ自体、これは山本先生のおっしゃるとおりであろうかと思います。
そういう意味では、憲法だけに焦点を当てるよりはいろいろなところに目配りをしていかなくてはいけない、それはおっしゃるとおりであるというふうに私も考えております。
○山本太郎君 済みません。もう時間も残り少ないので、次は2ラウンド目に譲りたいと思います。
ありがとうございます。




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