山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

○山本太郎君 れいわ新選組、山本太郎です。
昨年5月、東京での岸田総理とバイデン大統領の会談を皮切りに一気に前に進んでいるのが次世代型原発。今年1月、ワシントンでの西村大臣とアメリカ側の会談では、第三国への輸出などで協力すると合意。日本側も、日本企業も参入です。
資料の①。日揮HDとIHIは、SMR、小型モジュール炉開発に取り組むアメリカ企業、ニュースケール社へ出資を決定。


資料の②。更に、株式会社国際協力銀行、JBICも約1億1000万ドルを出資と。


日米合弁のGE日立は、今年1月、カナダでの小型原子炉プロジェクトを受注。原子炉の設計、工学ライセンスの申請サポート、建設、試験、訓練、試運転まで一連のプロジェクトを担当。その後、矢継ぎ早に次世代型原発へのセールスを様々な国々にアプローチしていると聞きます。これ、かなり順調だと言えるんじゃないかというふうに思います。
ここは短くいただきたいんですけれども、ビジネスとしてはこれはかなりおいしいものになるんじゃないかというふうに大臣は自信を持っていらっしゃいますか、次世代型原発。イエスかノーかでお答えください。
○国務大臣(西村康稔君) そう簡単に答えられるものではありませんので。
開発をしなきゃいけませんので開発費が掛かっております。それから、規模が小さい分は初期投資費用は抑制できる面がありますけれども、一方で、発電量当たりのコストが高くなったり、あるいは国内の審査経験はこれまでありませんので、審査プロセスに時間を要するといったこともあります。
世界中でこの脱炭素化とエネルギー安定供給を進める上で、万が一事故があった場合でも被害の規模も限定的になることも見込まれるこのSMRと呼ばれる小型のものについて、世界中で進めていく国々も出てきているのも事実でありますので、私ども、まずは研究開発、技術開発、しっかりと取り組みたいと考えております。
○山本太郎君 まあお答えからすると、簡単に言えないと言いますけど、ちょっと見通しが余り良くないというようなお話なんじゃないですか、それ。この一連のプロジェクト、そうなっていくんじゃないかと予測いたします。
昨年1月、日本原子力研究開発機構と三菱重工業などは、アメリカ原子力企業、テラパワーとナトリウム冷却高速炉の開発協力に関する覚書を締結、ワイオミング州で建設する計画に参加と。高速炉といえば、建設、運営費に1兆円以上を投じ、ナトリウム漏れなどの事故や不祥事を起こしまくった「もんじゅ」、22年間で稼働日数は僅か250日、会計検査院は研究達成度16%のみと評価。日本の経験をどう生かそうというんでしょうか。
さらには、アメリカ国内でもまだ1基として運転経験がないのが、SMR、小型モジュール原子炉。これを日米がアフリカ、東欧に売り付けるプロジェクトが進行、日揮は中東、東南アジアでの売り込みも目指すと。官民一体で前のめり、これ経済的に割が合うんですかという話なんですね。
次世代原子炉プロジェクトは、投資回収の見込みがないよ、経済的に不合理だなどと専門家から評判が非常に悪いです。例えば、JBICが約1億1000万ドル出資したというアメリカ・ニュースケール社が開発中のSMR、アイダホのエネルギー省施設に実証炉を建設、ユタ州公営共同電力事業体に電力供給する計画ですけれども。
資料の③。アメリカの民間調査機関、エネルギー経済・財務分析研究所の分析では、余りに稼働時期が遅く、高コスト過ぎる、リスクが高過ぎる上に、不確実性が大き過ぎると評価。


資料の④。ニュースケール社の新規SMRの電力価格の見積りは、メガワットアワー当たり58ドル、この時点で風力発電のコスト30ドルのおよそ2倍なんですね。競争力を持てないですよ、これ。その上、ニュースケール社は、今年1月には89ドルに上方修正。200ドル以上になると言われる試算もあると。


そのほか同研究所が指摘するニュースケール社のSMRプロジェクトの問題、キロワット当たりの建設コストを3000ドルと見積もるが、アメリカ・エネルギー省は6800ドルを超えると試算。この分析を手掛けた同研究所の資源計画分析局長は、再生可能エネルギーの発電コストが急速に減少し、SMRが稼働するのが2029年以降になることを考慮すれば、このSMRプロジェクトは断念されることになるだろうと述べています。
資料の⑤。

今年2月のワシントン・ポスト、昨年12月、ニュースケールが発表した目標稼働時期は2030年に後ろ倒しだというふうに報じられています。これ、2029年以降になることを考慮すれば、これ断念されることになっていくんじゃないのというようなことで、現実的にはこれも後ろ倒しにするしかないというような現実があると。この計画、アメリカ政府から40億ドルぐらいの補助金受けても、既に詰んでいる状態なんです。経済的に見込みのない代物、その損失と増大したコストを日本が官民挙げて引き受けようとしている状態に見えるんですね。
資料の⑥。GE日立がカナダで進めるSMR、まだ正式な審査を通過しておらず、再エネ、ガス火力よりコストが高くなると予想されている。議会、環境団体からの反対も強い。


資料の⑦。三菱重工業などが参加、ナトリウム冷却高速炉プロジェクトもロシアからの高純度低濃縮ウランの供給が困難となり、スケジュールに大幅な遅れ。


資料の⑧。そもそも高純度濃縮ウランを使用する高速炉の輸出に、米国内の専門家からも核不拡散の観点から危険性を指摘する声が強い。一体どんな目利きしたら、こんなプロジェクトに官民これ挙げて投資できるのかなと思うんですよ。


これまた日本企業がアメリカ政府とか企業に食い物にされる定番コースなんじゃないですか。日本といえば、アメリカの原子力政策にとっても忠実なしもべでございます。建設、運転というリスクとコストの高い事業は日本が引き受け、総括原価で消費者に負担を転嫁、アメリカは技術ライセンス料でふんだくる関係です。
1951年、技術援助契約で、三菱電機がアメリカ・ウェスチングハウスの原子炉資材や特許の提供を受ける際、最初5年間のライセンス料は100万ドル、6年目からは最低特許使用料として5万から10万ドルを支払う契約であった。最初5年間のライセンス料100万ドルは、当時のレートで3億6000万円。当時、総理大臣の月の給与が6万円。1951年、国立近代美術館建設のための予算が1億円。その3.5倍が原発のライセンス使用料のみで支払われたと言えば、額の大きさが分かりますよね。
その後も続くウェスチング社との契約は、三菱重工業の幹部が不平等条約と呼ぶほどでした。
資料の⑨。91年9月の日経、ウェスチング社にとって重工が払ってくれる年間10数億円の授業料はまさにコストゼロの利益だと。


資料の⑩。東電が西ドイツKWU型原子炉の導入を検討した際には、ウェスチング社がアメリカ政府を通じて日本側に圧力。


資料の⑪。90年頃から、不平等条約の見直しとともに、不平等契約の見直しとともに、一時期は純日本製原子炉を推進する声もあったけど、結局はアメリカとの共同開発の形を取り、技術上も対米依存が続くと。


一方、79年、スリーマイル事故後、アメリカでは原発建設ビジネスは成り立たず、99年にはウェスチングハウスはイギリス企業に売却。9.11テロで安全規制は強化、原発建設は更に困難に。見込みのないアメリカ系原子力企業を更に高値でつかませる先が日本。
2006年、東芝は、総資産価値2000億円程度と言われたウェスチングハウス社をその3倍、6000億円を超える額で買収。その後、ウェスチングハウス社が不利な契約で受注してきた原発建設事業の行き詰まりなどから、ウェスチング社は破綻、東芝は1.4兆円もの損失をかぶり、今日の低迷につながっていると。
2018年、東芝、半導体の子会社、これ2兆円で売却したんですよね。そこで作られていたフラッシュメモリー、市場での販売シェア、当時世界第2位だったんですよ。歴史振り返ったら、アメリカの原子力業界にとって日本は金づる、リスクの押し付け先として都合のいい存在でした。当然、日本の原子力からの撤退なんて許されません。
資料の⑫。東電原発事故後、日本が脱原発の方針を表明すると、アメリカ・エネルギー省副長官、ほかにも、ジャパン・ハンドラーぞろいのシンクタンク所長が脱原発するなと反対。


2011年には脱原発方針を示す菅総理との日米首脳会談の調整をアメリカが拒否する動きや、30年代原発ゼロ方針を野田総理が示したときには、オバマ大統領の意向として再考するように要請されるほど、アメリカのリスク肩代わり、金づるのままでは本当の国益失いません。
見込みのない事業に投資するお金は、国内の省エネ、ほかにも再エネ、電気代引下げに使ってほしいんですよ。第2、第3の東芝をつくるようなことからは立ち止まり、撤退するのが経産大臣の役目ではないでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(西村康稔君) 私どもと認識が全く違います。
次世代の革新炉、これは、より安全性の装置を組み込んでいる、あるいは小型で万が一事故があってもその規模が小さい、そうしたことも含めて、今お話のあったアメリカのみならず、フランス、カナダ、イギリスと連携して様々取り組んでいくということを確認をしております。
その中で、SMRについては、私ヨーロッパを回りましたけれども、東欧の国々もそれぞれ関心がある、まさにロシアからの依存度を減らしていくために、エネルギーの安定供給と脱炭素化を進める有力な手段として多くの国が考えているということであります。
そうした中で、アメリカも日本の技術を必要としている。先ほどおっしゃった「もんじゅ」はうまくいかなかった、失敗を重ねたわけですが、その経験、あるいは三菱重工、お話のあった日立、東芝、あるいは日揮やIHIも、この日揮、IHIもニュースケールに出資をしているわけでありますが、テラパワーを進めているビル・ゲイツ氏も私お会いをして、まさに日本の技術を頼りにしていると、連携してやりたいという趣旨をおっしゃっていました。
まさに、脱炭素化とエネルギーの安定供給に向けて、私ども研究開発をし、是非、次世代の革新炉を開発、そして認められる範囲で建設をしていきたいというふうに思っております。
○委員長(吉川沙織君) 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○山本太郎君 はい。まとめます。
もう斜陽産業、逆に言えば、日本の国益、足引っ張る状態になっているんですね。結局、自前では造れなかったじゃないですか。アメリカの言いなりじゃないですか。G7と足並みそろえて、それでロシアから得られるエネルギーというものを諦めるんですか。中立に立つべきです。中立に立った上でロシアからもエネルギーを入れる、それこそが最高の国益にかなうんじゃないですか。
原発で失敗をした国が更にこの原発を進化させて手を出していく、そのような、私はここではやるべきではないと、原発の寿命の延長など絶対にやってはいけないこと、この5法案束ねてやること自体が間違いです。原子力の憲法である、この法まで曲げてしまうようなことは許されることではないと申し上げて、終わります。




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