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国会活動

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○山本太郎君
自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、お聞きします。

 

TPPによって公共事業などが外資に食われてしまうおそれについて、これまで度々質問をしてきたんですね。

 

先週の農水との連合審査におきまして、「TPP協定投資章の特定措置の履行要求の禁止条項の現地調達に関する規定は、政府調達には適用されず、そして地方政府による現行の措置にも適用されないことになっておりまして、委員の御認識は若干違っていると考えております」との答弁、これ大臣から頂戴をいたしました。

 

これ、このとき、私も、時間ももうオーバーしていましたので答弁がちゃんと聞き取れていなかったんですよね。ちょっと反射的に大臣に「それは違う」ということを伝えてしまったんですが、このときの大臣の答弁は100%正解です。もちろんです。当然です。政府側の答弁、大臣のおっしゃったことは100%正解だと、それについて少し簡単に説明してみたいと思います。

180626①

資料の①、ライン部分、(b)と(c)、大臣が答弁くださった9・10章、特定措置の履行要求の禁止。ざっくり言えば、外資系企業に対し、日本国内での現地調達を要求したり、物品購入やサービス購入について日本国内の業者から購入するよう要求するなど、特定措置の履行要求の禁止を規定と。しかし、政府調達においては、3(f)において適用除外されていることが確認できる。

180626②

そのほかにも、9・4条、内国民待遇。要は、外資でも国内企業と扱いでなきゃ駄目だよというものですが、これも政府調達については、資料②にあるように、9・12条6項にあるように適用除外になると。禁止されているけれど、事前に適用を除外していたから適用されないということになっていると。大臣の答弁のとおり、適用除外されているんだからという話だと思うんですけれども。

 

つまり、公共事業などで地元企業を優遇、地元経済優先も可能なんだよ、TPPでもということで、大臣、よろしいですかね? 済みません。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
恐らく、この議論の後、山本議員、第9の6条そして第9の8条のお話に入られるんではないかなと思います。多分、実際にそういうふうになっていくんだと思いますけど、それまで含めて答弁させていただいた方が正確に答弁できると思いますので。

 

この9条の6条、公正衡平待遇義務及び9条8条は収用及び補償についてでありますが、これは、政府調達に関連して、投資受入れ国の政府、これは日本含めてでありますが、これが対象投資財産に対してとる措置にも適用されると、このように考えております。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。まるで予言者のようにお答えをいただきましたけれども、その事前に省庁ともいろいろやり取りをさせていただきましたし、恐らくこの話の行き着くところはそこに行き着くんだろうと。9章、9・6条、「公正衡平待遇義務」と、9・8条、「収容及び補償」について、政府調達は適用されるということを今大臣からお答えをいただいたと、ありがとうございます。

 

9・6条、公正衡平待遇義務、9・8条、収容及び補償は政府調達でも適用される。つまりは、大目には見てもらえないよと、免責にはならないんだと。これを除外しなかったことで公共事業が外資に食われるおそれ、地方の公共事業が地元企業を優先できなくなるおそれがあるんじゃないかと、ISDSで訴えられるおそれ高まるんじゃないかという懸念です。

180626③

適用除外されていなかったこの「公正衡平待遇義務(こうせいこうへいたいぐうぎむ)」、TPP9章の9・6条に規定されているものだと。資料の③の上が条文、この中に注、括弧(かっこ)で注という部分がありまして、この条の規定は、附属書9のA、「国際慣習法の規定に従って解釈する」とあります。

 

じゃ、9―Aには何と書かれているか? 資料③の下。結論として、「外国人の待遇に関する国際慣習法上の最低基準とは、外国人の投資資産を保護するためのあらゆる国際慣習法上の原則をいう」と書かれているだけ。

 

先日、本委員会においでくださった磯田宏参考人は、「国民生活への罠―ISDSの狙い―」という論文の中で、この9―Aについて、国際慣習法上の最低基準イコール国際慣習法上の原則と言っているだけで、同義反復の無意味なものであると批判されている。つまり、公正衡平待遇義務が極めて抽象的で不明確だということを言われているということなんですね。

 

加えて、磯田参考人は、この9・6条の条文のうち、具体性を持っているのは、第2項(b)の十分な保護及び保障の部分だけであり、そのほかは不明確な内容ばかりが並んでいるとも指摘。

 

第2項(a)では、肝腎(かんじん)の公正かつ衡平な待遇についての説明になりますけれども、結局、裁判を受ける権利を否定しないことを含むということだけが理解可能で、それ以上に何が含まれるのか全く規定がないと磯田さんは批判をされている。

 

実はこれ、過去の投資協定でも同様に、公正衡平待遇義務の内容については、その意味するところは曖昧であって、結局、ISDSによる仲裁によって、仲裁廷の段階で裁量を加えた問題含みの裁定を多数下してきたとおっしゃっています。

 

磯田参考人によると、アメリカの既存の通商投資協定下のISDSで、外国投資家、外国投資家が勝訴したことが知られている案件は29件あるそうなんですけれども、22件が待遇に関する最低基準や公正かつ衡平な待遇違反を根拠としたものだと言います。

 

さて、TPP協定では、かつての投資協定の下で公正衡平待遇義務が濫用されたことを念頭に、附属文書9のAや、9・6条3項及び4項を歯止めとして設けたとされているそうです。

 

9―Aが意味がないということは既に述べたとおりなんですけれども、9・6条4項の、締約国が投資家の期待に反する行動を取る又は取らないという事実のみでは、結果として対象投資財産に対する損失又は損害があった場合であっても、この条の規定に対する違反を構成しないとあることも磯田参考人は何らの歯止めではないと指摘されています。投資家の期待に反する政府の行動という事実が公正かつ衡平な待遇違反を構成する重要な要素だということを改めて確認している意味であると、このように指摘されている。

 

結局、公正かつ衡平な待遇とは何かについて、最終的に仲裁の段階で裁量を加えて判断してきたので、要はISDSで訴えた後で公正衡平待遇とは何なのかを議論していくというものであると。どこまで行ってもこれ解釈の世界でしかないという話になっていきそうなんですよね。

 

政府調達において、わざわざ適用除外にしなかった公正衡平待遇義務違反でISDSで訴えられた過去事例、UNCTADのウエブサイトで検索をしました。全体での提訴案件は855件、そのうち公正衡平待遇義務違反で提訴があった数は411件、極めて不明確な概念を持つ公正衡平待遇義務違反での提訴が全体の半分近くに及ぶと。

 

例えば、経済危機が起こった国で水道事業を行う企業の株を外国の投資家が取得したと。国民生活が疲弊(ひへい)している中、水道料金を事業者が上げてしまった。水道代未払の家庭に対して水の供給を止めた事業者に対して国がペナルティーを与えると、そのような、訴えられた案件もあります。

 

水は命と直結するライフラインですから、料金の滞納があったとしても、多少の温情で供給は続けなければならないと。だって、人死にますから。そのような判断で事業者にペナルティーを与えた国が訴えられ、仲裁廷は、緊急状態等の違法性阻却事由(いほうせいそきゃくじゆう)は存在しないとし、公正衡平待遇義務違反等を認定したと。

 

住民サービスなど民営化を急速に進めてきたけれども、時代が変わってやり方が変わった。そうなることは珍しい話じゃないですよね。そのような揺り戻しが来たときに、正当な市民の要求が通らないという可能性も考えられると。
例えば、選挙のときには、「絶対に国益を損なうような協定は結びません」と公約をしていた。政権取った瞬間に手のひら返し。国内の公共サービスをどんどん民営化して外国資本や大企業が活躍しやすい国にしていった結果、国民生活は疲弊、後々の選挙で政権交代が行われたとしますよね。

 

自由貿易を名のる協定もどきからは抜けないまでも、今まで協定に基づいてやってきた民営化施策を新政府は見直していくことになった、若しくは、余りに投資家側に有利な条件を与え過ぎていたからそれを見直すということになっていった。こういったことが公正衡平待遇義務違反とか収用という問題にされて、実際にも訴えられている案件です。

 

このように、公正衡平待遇義務は、非常に使い勝手のいいISDSに提訴するためのツールとして多用されているという現実がある。

 

磯田参考人の論文で、また一つ見逃せない部分があります。仲裁人やそれが所属する法律事務所とISDSシステムの関係における構造的な問題があるという指摘。一言で言えばISDSビジネス。その点を明るみに出した秀逸なレポートが、2012年の「プロフィット・フロム・インジャスティス」、TPPの特別委員会のときにもそれ出させていただきましたけれども、その内容どういうものか?

 

第一に、ごく限られた少数の巨大法律事務所と有力弁護士がISDS仲裁人の多くを占めるという、言わば寡占産業になっているという指摘。

国際貿易開発会議、UNCTADが把握した2011年までの累積ISDS訴訟案件、訴訟件数、450ですけれども、このレポートの作成者が、法律事務所自身の2011年時点の公表情報から集計したところによると、仲裁関与件数が最大の法律事務所が71件、これ、450件のうちの71件ですから16%、上位3法律事務所が130件、450件のうちの29%、上位10法律事務所が221件、450件のうちの49%、そして上位20の法律事務所で320件以上、450件のうちの71%を担当していると、非常に偏っているという話ですよね。

 

また、弁護士個人に即して見ても、仲裁担当件数最多の弁護士は、たった一人で39件、上位5人で160件、上位15人で331件、全体が450件ですから74%、上位15人で74%を担当していると。247件の裁定、上位15人、331件を担当して447件の裁定を下したとレポートにあります。

 

第二に、ISDS訴訟で活躍する弁護士や法律事務所が、他方では投資協定や投資条項を持つ通商協定にISDS条項、しかも極めて広範囲な投資概念や待遇に対する裁定基準、公正かつ衡平な待遇といった不明確ゆえに、仲裁廷の裁量的解釈を可能にする条項を挿入したり、条項草案を作成するために関係国政府の交渉団、アドバイザーや証人として活動しているとの指摘をしています。

 

また、これらの弁護士が、アメリカの通商代表部幹部や大統領顧問になったり、日常的に多国籍企業や医薬品業界団体の顧問や相談役としても活動しているとも報告。

 

第三に、これら弁護士や法律事務所は、数々の弊害をもたらし批判を浴びるこのようなISDSシステムの改革の動きが出ると、各国政府や議会に対するロビイストや国際法の専門ジャーナル編集者としてそれを妨害する活動を行っているという実態もあるといいます。

 

要するに、少数、有力なISDS専門法律事務所、弁護士たちが、多国籍企業とその本国になっている政府との間でそれぞれの重要役職を行ったり来たりすることも含めて固有のコミュニティー、ISDS村を構築。ISDS条項入りの協定、ISDS訴訟の多発、一件平均800万ドル超の仲裁費用、高ければ時給1000ドル超にもなると。

 

仲裁人報酬の獲得と損害賠償金の山分け、多国籍企業の対外投資権益の強力な保護を行うというマッチポンプ構造ができ上がっている。

 

TPP協定が仲裁廷の公平性、中立性確保の仕組みを有しているってよく聞きますよね。

さらに、具体的手段、仲裁人の行動規範を作成することを約束しているので、懸念は不要だと政府から説明はされています。だけど、これ説得力がないんだよと磯田先生はおっしゃっている。

 

その理由として、まず、そのような仕組みが利益相反の防止に効果を発揮できなかったさびついた規定の域を出ない点、次に、具体的手段の内容抜きに各国での承認を迫る反民主主義プロセス、それ自体が国の主権を損なうという点、さらには仲裁廷の公平性、中立性を侵害してきた構造に手を付けないという点が挙げられると。

 

結局には、何重にも説得力とか合理性を欠くようなシステムをTPPの中には組み込んでいるんだと言わざるを得ない。ISDSというものが弁護士や法律事務所の巨大な利権になっているという磯田参考人の御意見なんですけれども。

 

この磯田参考人のおっしゃっていることであったりとか先ほどのリポートであったりとか、ISDSにそういうISDS村みたいなものがあるよということは、大臣はお読みになったりお聞きしたことはありますか?

 

○国務大臣(茂木敏充君)
国会としてお呼びをいただいた参考人の方の意見陳述でありますから十分参考にさせていただきたいと、このように思っておりますが、その上で、TPP協定の投資章におきまして、先ほど御指摘にありました外国人の待遇に関する国際法上の最低基準、これ、山本委員の方から、裁判を行うことを拒否しないことだけしか書いていない、つまり、これが公正かつ衡平な待遇に関することでありますが、それ以外にも警察の保護を与えること等々が協定上例示をされていると、このように理解をいたしております。

 

それから、ISDSに関わる懸念、これについて意見表明等々をいただいたところでありまして、これはTPP協定におきましては、これらの規定についても、濫訴(らんそ)、何度もいろんな訴えと、こういったことを防止するために具体的な規定を置いております。

 

9の6の3と、こういうお話がありましたが、衡平公正待遇につきましては、投資家に損害が発生しても、投資家の期待に反する行動を取る、取らないという事実のみでは違反にならない、これが9の6の4、委員がおっしゃった点であります。そして、補助金を実施、維持しない、修正、減額したという事実のみでは違反にならない、これが9の6の5であります。こういったことを明記をいたしております。

 

さらに、9のAのお話がございましたが、これは収用に関してでありますが、これは、附属書の9のBにおきまして収用については詳細な規定を設けまして、締約国による行為が投資財産の経済的価値に悪影響を及ぼすという事実のみをもって間接的な収用が行われたことが確定するものではない、こういった収用と判断される要件、厳しく規定をしてございます。

 

○山本太郎君
今大臣から、濫訴防止におけるようないろんな設定がされているんだという御説明があったと思います。

 

例えば、今おっしゃった、間接収用に関するTPP9章の附属書9ーBの話ですね。でも、そこにはトラップ的なものが仕組まれているんだという見解もあります。その中に「この章の規定に適合するものに限る。」という一文が入っているんですよ。これどういう意味かというと、投資の章違反でなければ投資の章の違反として扱われませんというふうな読み方ができる。違反でなければ違反でないって当たり前の話なんですよ。

 

るる御説明していただいた内容に関して、じゃ、どこでジャッジするんですか? という話なんですけど、それはISDSじゃないですか、もうそれって。結局、仲裁廷に行って、解釈でどこまでもやり続けるという話でしかないんですよ。濫訴防止になっていないという話なんですね。

 

そこから一旦離れていただきたいんですが、政府調達では、9・6条、9・8条を利用して、先ほどの公正衡平待遇義務違反、そして収用及び補償を利用して投資家がISDSを使う可能性というのは、大臣、否定はできませんよね?

 

○国務大臣(茂木敏充君)
投資家の側がどういった規定、これに論拠して訴えを起こすかということにつきまして、予見を持って私が申し上げることは差し控えたいと思います。

 

○山本太郎君
当然、否定なんてできるはずないんですね。仕事を地元で回すなどの地元企業優先や地元産品優先などの言わば既得権益、ここにドリルを入れて加盟国に自由な商売をさせようぜという、最大限それを推奨させるのがTPPですからね。除外したものもあった、確かに適用除外したものもあったけど、されていないものがあるのであって、そこから入り込んで訴えることだってできるんだということですよ。大臣、否定できなかったじゃないですか。

 

それが嫌なんだったら、地元を守りたいんだったら、地方を外資に食われないためにもその部分の開放には加わらないという選択もできたんですよ。アメリカ、メキシコ、ニュージーランド、マレーシア、ベトナム、シンガポール、ブルネイなどなどはこの政府調達の地方の部分に関わっていませんよね。でも、日本は、そこに関わっただけじゃなく、訴えられるおそれがあるルールを全て適用除外にしなかったという話なんですよ。

 

それらに違反すれば、当然、ISDS条項を使って国を訴えることが可能ですよ。地元優遇、難しくなるんじゃないですか、訴えられる可能性があるんだから。外資が食い散らかした残りさえも日本人で分け合うことが要求できない、要求しづらい。日本のため、日本の地域のために税金などで、税金を使って底上げしていくという考え方が公共事業にあるのに、そこに対して難しい状況がつくられている、それを見逃してきたという部分があるんですよね。

 

ISDS、やばいということを一番分かっているのは自民党の皆さんじゃないですか。そんなこと込み込みで言われていたんですよね。

例えば森山裕(もりやまひろし)さん、衆議院議員の方ですよね。

「ISD条項につきましては、やはりNAFTAの関係で、カナダとアメリカのいろいろな訴訟問題というのは我々も関心を持たざるを得ません、それぞれの国の法律を超えてしまうからですよ」というふうにおっしゃっているんですね。いっぱい、発言いっぱいありますよ。

江藤拓(えとうたく)さん、「TPPが通ればISDS条項があるんですから、我々を排除するのかとやられたら、訴訟を起こされたら、日本はすぐに負ける。」

 

○委員長(柘植芳文君)
時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。

 

○山本太郎君
ちょっと皆さん、もう一度戻っていただけませんか、政治家になったときの基本に。誰のために政治やるんですか? ということを思い出していただきたいんですよ。次の選挙のためですか? って、公認もらうためですか? って。野党のときには全力で反対していたじゃないか? って。TPP断固反対でまとまりましょうよ。グローバル企業に差し上げるんですか、この国を。
というわけで、次回の質疑にまた譲りたいと思います。ありがとうございます。




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