山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

審議法案:国家公務員法の一部を改正する法律案

(参考人)
牧原出・東京大学先端科学技術研究センター教授     
清水敏・早稲田大学社会科学総合学術院教授同大学副総長・常任理事
晴山一穂・専修大学法科大学院教授     

○山本太郎君 ありがとうございます。ありがとうございます。新党ひとりひとりの山本太郎と申します。
参考人の先生方、今日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。私からは質問を二問、三人の先生方に、お一人お一人にお聞きしたいと思います。お答えいただきたいと思います。
まず最初に、私は先日の本委員会におきまして、質疑で、去年六月二十八日、国家公務員制度改革推進本部決定の今後の公務員制度改革についてという文書に、誤った政治主導を是正し、政と官の役割を明確にすることにより、相互の信頼の上に立った本当の意味での政治主導を確立する必要があるというふうに書いてあったんですけれども、私、稲田大臣の方に、誤った政治主導、誤った政治とは何ですか、本当の意味での政治主導とは何ですかという質問をしました。
稲田大臣のお答えはこのようなものでした。私が考える誤った政治主導というのは、政と官の在り方において、官僚をうまく生かすことができず、むしろ官僚を排除する形で政治主導を発揮するということはかえって国益を損なうことになると思います。反対に、中立、公正に行政を行っている官僚にうまく能力を発揮していただき、そして政治家がきちんとその方向性を示し、最終的な責任は政治家が取るというのが真の意味での政治主導だというふうに考えておりますという答弁でした。
そこで、参考人の先生方、お一人お一人にお伺いします。
先生方は、誤った政治主導、本当の意味での政治主導をどのように考えておられますか。よろしくお願いします。

○参考人(牧原出君) 政治主導が誤っているか正しいかということの判断というのは、これは恐らく同時代ではなくて、やはり歴史の先にそれを評価するものではないかと思います。その意味で、現段階で、これまだ政治主導と言われたのは割と直近の過去ですので、これについての評価というのは非常に難しいと思います。
実態も、私自身、よく分かっていないところ多々ありますが、政と官の在り方について、正しいかどうかはともかく、良好な関係というのがあるとすれば、やはり私は、政と官がある種競争関係に立つことではないかと考えております。
それは、官は官の力を出していくということで、これで政の力が上がると当然官の力が強くなってしまって、ある種官僚主導的になる。逆に、官が弱くなって政だけが強くなると今度は手足がなくなって、政治が幾ら方針を出してもそれが実行できないということになると。双方の力を強めながら、どう新しい今後のグローバル化あるいは少子高齢化に対して政府が、それに対して適切な対処をしていくかということを考えていくということが必要だと思いますので、政は政でその力を発揮できるようなある種の自己改革が必要だと思いますし、行政は行政の側で、萎縮したりすることなく、しかも、ある意味で過剰に自己主張することなく、法律にのっとり、しかし、やはり先見的なものはしっかり受け継ぎながら、それを摂取しながら新しい時代に適応していくということなのではないかと考えております。

○参考人(清水敏君) この件につきましてはちょっと私の専門を大きく離れますので、大変恐縮ですが、これについての私の意見は控えさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○参考人(晴山一穂君) 政治主導一般が是か非かという問題はなかなか難しくて、結局、そのときにやろうとしている政治の中身がどういうものかということによって客観的な意味は全く異なってきますので、だから、いい政治だったら政治主導でいい、悪い政治だったらよくないというふうにも言えない。一般論として政治主導がいいかどうかというふうに問われるというのは、非常に難しい問題だというふうに思います。しかし、現実にはその政治を選んでいるのは国民ですので、内閣は国民の多数派によって形成されるという議院内閣制になっていますので、それを前提とした上で政と官ということのそれぞれの独自の役割をどううまく関係付けるかという、そういう課題はあろうかと思うんですね。
その限りで言えば、先ほど紹介された大臣の発言は、比較的、その限りで私には近いというふうに言っていいと思います。政治の決めたことを無条件に従って政権に奉仕することが官の役割だというふうには私は思いませんので、先ほど言いましたように、やっぱり公務員、官に独自の役割、官でなければできない役割というのがあると。
それをいかに現実の政策決定過程で発揮をさせるかというところが政治家の役割で、そこをやっぱり聞いた上で最終的には政治判断ということになるわけですけれども、ただ聞くだけじゃなく、本当の意味で公務員として言っていることを尊重しつつ政策決定をしていくかということは、政治家として非常に重要なあれだろうというふうに思いますので、先ほどの大臣の発言は、その意味では私は共通するところがあります。

○山本太郎君 ありがとうございます。
もう一つですけれども、天下り問題についてなんですけれども、これはもう解決したんでしょうか、それともまだ解決していないのか。解決していない場合、どうすればいいんでしょうか。先生方のお考え、教えてください。お願いします。

○参考人(牧原出君) いわゆる、かつて言われたような天下りというものが様々な意味で規制をされているというのが現状であろうと思われます。
ただ、そうだとすると、今度は公務員の定年、国家公務員の場合の定年ですね、定年まで雇用するということになった場合にどうその人事配置をするかということで恐らく今試行錯誤しているところではないかと思いますので、そこが天下りを規制した先に生じたある種の問題であろうと思われます。
公務員、国家公務員を適格性、いろいろな標準職務遂行能力があるとして採用し、任用しているとすると、その人材をどう社会が生かすかということは、これはやはり考えなければいけないことでありまして、政府の中でも活用するということも考えられますし、より広く社会でそれを活用するということもあり得ると思いますけれども、そこをどうするかということは決定的な解はなくて、様々なところでそういう人材を生かしていく、少なくとも腐らせないということが必要であろうというふうに考えております。

○参考人(清水敏君) この天下り問題全体がどうなっているかということは私よく分かりませんけれども、経験的に私、大学のマネジメントをやっていますから、関係省庁から人をお迎えするということは時々ございます。
そういう意味では、我々の方からも、こういう方に来ていただきたい、こういう仕事を担っていただきたいという形で我々の側の意向というものを十分お伝えをして推薦をしていただくというようなことをやっておりまして、そういうのは天下りと言わないんだと言われると、また違うのかもしれませんが、そういう形で、言わば有能な公務員の方を我々の側としても積極的に活用していくという姿勢は持っておりまして、そういう意味で、受け入れる側としては、本当に活躍していただける方、そして、先ほど牧原先生がおっしゃったように、ここに来て腐ってしまうようでは困りますので、不幸ですので、そういう意味では、辞めて民間に来ていただく方については相当官民の間の意思疎通をやっていくということが必要かなというふうに、これは経験的なことですけれども、そんな感想を持っています。

○参考人(晴山一穂君) 天下りはかつては原則禁止ということになっていまして、二〇〇七年の国家公務員法改正前まではそうだったんですよね。離職前五年間いた職務と密接な関係のある民間企業に離職後二年間は行ってはならない。ただし、人事院が承認したのは例外だという非常に限定付きでしたので、二年たてば行けるし、特殊法人は入っていませんでしたので、特殊法人を経由して天下ったと。
これが非常に批判されていたわけですけれども、原則、天下りは禁止だという原則自体はあったんですよね。それはなぜかというと、やっぱり官と民が癒着して公務をゆがめるんだと。天下りにはそういう弊害があるから原則禁止だけれども、一定の範囲で人事院がチェックしてやりますよと。抜け道がいろいろあったけれども、それなりにやっていたんです。
ところが、二〇〇七年の第一次安倍内閣のときの国家公務員法改正でその規定を全部なくして、省庁ごとにあっせんする天下りは禁止をする。刑事罰まで設けますよということで、安倍さんはあのとき天下りこれで根絶できると、根絶規定だということで改正をしたんですね。ところが、それは省庁あっせんするものを禁止する、あるいは自分から働きかけるのを禁止することであって、そうじゃない天下りというのは逆に野放しになったわけですよ。だから、今でも現実に、じゃ、なくなっているかというと、もう多分もっと増えているんだろうと思うんですね。それは、でも、国公法を通らない形でやっているものなので、私は逆にあれで天下りをもう放任した改正だったというふうに思っているんですが。
だから、天下りを本当に規制するためには、官民癒着の疑いのある天下りは原則禁止だと。ただ、清水さん言われたように、例えば大学の研究者になるとか、そういう癒着の可能性のない天下りというのか、再就職はあり得るわけで、そこはやっぱり第三者機関がチェックをして、人事院がオーケーしたものはいいですよということで、前もやっていたわけで、そこでもまた第三者機関になるんですが、そういう仕組みに私は作り上げるべきだというふうに思っています。

○山本太郎君 済みません、二問だけと言ったんですけれども、まだ二分半ほどあるので、もう一問だけ聞かせていただいていいですか。
これ、例え話です。例え話で、この法案に先生方が採決する権利を持っていらしたら、現時点でのこの国家公務員法等の一部を改正する法律案に賛成できますか、賛成できませんか。賛成できない場合は、ここが足らないんだという部分を少し教えていただけると助かります。よろしくお願いします。

○参考人(牧原出君) 採決できる権限があったといたしましても、多少は勉強しておりますけれども、個々の法案のこの細かい部分を議員の先生方のようには知らないということでございまして、私は採決では棄権をいたします。

○参考人(清水敏君) 私も法案の全てを読み尽くしているわけではございませんので、客観的に賛否を問われたときに大変逡巡すると思います。
ただ、私の専門からすると、この法案はまだ不十分なところがあるということですので、それ以外の部分について評価をしなくちゃいけないんですが、それ以外の部分について言うと、私はそれを評価できる立場にございませんので、牧原先生と同じように多分棄権をすることになるかなというふうに思います。

○参考人(晴山一穂君) 私は曲がりなりにも公務員法を専門にしていると言いましたので棄権するわけにいきませんので、これは反対します。

○山本太郎君 最後のむちゃぶりまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
終わります。

○委員長(水岡俊一君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言御礼の御挨拶を申し上げます。
本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べをいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。




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