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山本太郎資料ファイル

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「Profiting from injustice」

 

「コーポレイト・ヨーロッパ・オブザーバトリー」が出している

Profiting from injustice」(不正義によって利益を得ること)というリポートの

Executive Summary(概要)ページの翻訳です。

 

このレポートは、企業によるロビー活動が、
政策、政治をゆがめないように調査し、監視し、
民主的で社会正義にかなった政策提言を行う、
欧州の学者や専門家で構成される2つのNGO団体が共同で作製したものです。

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概要

 

この20年は、何百社もの会社を誘惑し、会社の利益を人権および環境に優先させるような強力な国際投資体制の物静かな台頭を目撃している。

 

国際投資協定は、国家間でなされる協定で、互いの領土における投資家の権利を決定する。公衆衛生または環境を守るものであっても、政策の変更が会社の利益に影響を及ぼす可能性がある場合には、政府を訴えるために、強力な会社により利用されるのである。2011年末までに、3,000を超える国際投資協定が署名され、国際仲裁廷での請求の急増につながった。こうした訴訟の費用は、多額の訴訟費用と言う形で政府にのしかかり、しばしば、重大な社会的・経済的必要性のある国々において、社会的および環境上の規制を弱め、人々の納税の負担を増大させている。

 

しかし、こうした金銭上および社会的コストは、より目に見えるようになってきた。公的見解からかなり曖昧な部門が一つあるが、それは、こうした訴訟ブームから利益を得ている法律業界なのである。この報告書は、初めて、投資仲裁業界における主要なプレーヤーを調べることにより、こうしたことに取り組もうとするものである。政府に対する訴訟から巧みに利益を上げている法律事務所、仲裁人および訴訟資金提供者(litigation funders)に光を当ててみる。

 

本報告書は、仲裁業界が国際投資法の受動的な受益者からは程遠いことを示している。むしろ、彼らは、かなり能動的なプレーヤーで、多くは、多国籍企業と強力な個人的・商売上のつながりを持ち、国際投資体制を精力的に擁護している学術機関で顕著な役割を果たしている。彼らは、政府を訴えるあらゆる機会を探しているだけでなく、国際投資体制のいかなる改革に対しても強烈に見事に反対運動をしているのだ。

 

国際投資仲裁制度は、西側諸国の政府により正当化され導入されたが、その際に、公正で中立な紛争解決の制度を国内の裁判所内の偏見や腐敗から会社の投資を守る必要があるという議論があったのだ。投資仲裁人は、監視者であり、この制度を保証する者であるはずだった。

 

公正で中立な仲介者として活動するどころか、仲裁業界が、民主的に選挙された国内の政府と主権国家を犠牲にして、投資家の権利を優先させるような投資体制を永続させていることに既得権を有していることは明らかである。何百万ドルもの利己的な業界を築き上げ、法律事務所と弁護士の狭い、独占的なエリートが支配し、コネや多重の金融上の利益が公正で独立した判断を与えるという公約について重大な懸念を生んでいる。

 

その結果、仲裁業界は、公正でもなく独立していない、かなり欠陥のあるビジネス寄りの国際投資体制に対して責任がある。

 

主な調査結果

1.投資仲裁の事件の数とその関連する総額は、この20年間で急増しており、1996年の38件(当該紛争処理を行う世界銀行の団体のICSIDに登録)から2011年には公知の投資家と国の事件の450件になった。また、その金額も劇的に増えた。2009年と2010年では、151件の投資仲裁事件に、国から少なくとも1億米ドルを要求する企業が含まれる。

 

2.仲裁ブームが、納税者が支払うことになる投資仲裁人の大儲けを生み出している。訴訟および仲裁費用は、投資家と国の1件の紛争につき、平均して8百万米ドルであり、事件によっては、3,000万米ドルを超えることがある。エリート法律事務所は、一人の弁護士につき、1時間当たり1,000米ドルも請求する。そして、チーム全員が事件を処理する。また、仲裁人は、高額の給与を稼ぎ、ある事件では、約1百万米ドルにも及んだという報告がある。こうした費用は納税者が支払うことになり、人々が基本サービスすら受けられないような国においても、そうなっている。例えば、フィリピン政府は、ドイツの空港会社のFraportに対する2件の事件の防御に5,800万米ドルを費やしたが、その金額は、12,500名の教師の1年間の給与額であり、または、結核、ジフテリア、破傷風、および小児麻痺などの病気に対する380万人の子供たちのワクチンに支払われる金額であるのだ。

 

3.国際投資仲裁業界は、法律事務所およびエリート仲裁人の北半球を基盤とした小さく緊密な社会により支配されている。

 

  1. a) 3つのトップ法律事務所である、Freshfields(英国)、White&Case(米国)およびKing&Spalding(米国)は、2011年だけで、130件の投資協定事件に関与したと言っている。

 

  1. b) 15名のエリートは、ほぼ全員が欧州、米国またはカナダ出身だが、彼らだけがすべての公知の投資協定紛争の55%を決定している。この弁護士の小さな集団は、「内部マフィア」とも言われるが、同じ仲裁部会に同席し、仲裁人と弁護人の双方を務め、互いに、仲裁事件で証人として呼ぶことすらある。これが、より広い法律上の社会の内部を含めて、利益相反の懸念の増大につながるのだ。

 

4.仲裁人は、公益よりも民間の投資家を守る傾向があり、それは、固有の会社偏重を表している。幾人かの著名な仲裁人は、大手の多国籍企業の取締役会のメンバーで、その企業には、開発途上国に対して訴訟を提起した企業も含まれる。ほとんどすべてが、私的な利益を守るという特別な重要性にビジネス上の信条を共有している。経済危機の際にアルゼンチンが取った政策などの公益の決定に関する多くの事件で、仲裁人は、その裁定で、利益の損失という会社の主張以外のことは考慮に入れなかった。多くの仲裁人は、投資仲裁で国際環境と人権法をもっと考慮に入れるという、Bruno Simma国際司法裁判所判事の提案を声高に拒絶した。

 

5.専門の仲裁部署のある法律事務所は、国を訴えるあらゆる機会を探し、危機にある政府に対する訴訟を奨励している。最近では、ギリシャとリビアがあり、会社の有利性を保証するために、複数の投資協定の利用を勧めている。彼らは、公衆衛生または環境保護に関する法律を弱め、または、阻止するために政策上の武器として訴訟の脅威を利用するように会社に奨励している。投資弁護士は、顧客を求めて、救急治療室へ向かう救急車の後を追う弁護士と同じように、新たな国際的「アンビュランス・チェイサー」となっている。

 

6.エリート仲裁人を含めた投資弁護士は、反対の根拠があるにもかかわらず、海外投資を引き付ける必要な条件として積極的に投資仲裁を勧めている。投資家と国の仲裁に応じる国に対するリスクは、軽視されるか退けられている。

 

7.投資弁護士は、訴訟の可能性を最大にする文言を用いている投資協定に署名するように政府に勧めている。そのとき、その協定は、事件数を増大するような曖昧な言葉遣いの協定条項を用いている。140件の投資協定事件に基づく統計調査によると、仲裁人は、様々な条項の広い(主張者寄りの)解釈を一貫して採用している。そして、仲裁弁護士は、人権と社会権に至っては、国際法において限定的なアプローチを取っている。

 

8.仲裁法律事務所とエリート仲裁人は、影響力のある立場を利用して、国際投資体制に対する改革に反対して積極的にロビー活動を行っているが、とりわけ米国とEUで顕著である。彼らの行為は、会社に支えられ、バラク・オバマ米大統領が就任したとき、彼が提案していた米国の投資協定における規制を行う政府の政策の余地を高めようとする変更を阻止するのに成功した。数人の仲裁人は、国際投資体制に疑問を投げかける国家を声高に非難した。

 

9.不公正な投資体制を強化する、投資弁護士と政府の政策策定者との間の回転ドアがある。数人の著名な投資弁護士は、投資協定(または投資保護の章のある自由貿易協定)の交渉の長であり、投資家と国の紛争において政府を擁護した。政府により、積極的に助言者やオピニオン・リーダーとして求められ、立法に影響を及ぼす者もいる。

 

10.投資弁護士は、投資法と仲裁に関する学術論文をしっかり掴んでおり、その課題に関する学術論文の大部分を作成しており、投資法に関する重要な機関誌からなる編集委員会の、平均して74%を支配しており、たいていは、当該制度から個人的に利益を得る方法を開示しない。これは、学術上の均衡と独立性に関する懸念となっている。

 

11.投資仲裁制度は、投機的な金融の世界とますます一体化している。そして、投資ファンドが裁定または解決におけるシェアと交換に、投資家と国の紛争に資金を提供するのに役立っている。これは、投資ブームをさらに焚き付けそうであり、資金繰りが苦しい政府にコストが増え、資金提供者を仲裁人、弁護士および投資家と結ぶ、個人的関係の密着した蜘蛛の巣のために、利益相反の懸念が生じる。Juridica(英国)、Buford(米国)およびOmni Brigeway(英国)などの会社は、その活動の規制のないので、すでに国際投資仲裁の常連となっている。投資仲裁の金融化は、世界的な金融危機の背後にある悲惨なクレジット・デフォルト・スワップ(credit default swap (CDS))が絶頂だったときに、第三者への一括の訴訟で儲けるという提案にまで拡大した。

 

国際投資仲裁の不正義と矛盾に気付き始め、本制度からの撤退を始めた国もある。2011年春に、オーストラリア政府は、その貿易協定に投資家と国の紛争解決条項をもはや含めないと発表した。ボリビア、エクアドルおよびベネズエラは、幾つかの投資協定を終了させ、ICSIDから撤退した。アルゼンチンは、2001年から2002年の経済危機の際の緊急事態法に関連した投資家による請求で身動きができなくなったが、仲裁の裁定額の支払いを拒んでいる。南アフリカは、投資政策の完全な点検を行い、開発を考えて調整し、新たな投資協定を締結することも、満了のために古い協定を更新することもしないと発表している。

 

こうした反動を投資仲裁業界のメンバーは気づいていないわけでない。内部関係者の中には、さらなる透明性などの適度な改革の提案とともに課題に向き合おうとしている者もいる。しかし、こうした提案は、投資仲裁制度の固有な欠陥と会社偏重に取り組んでいない。人権や環境が会社の利益よりも重要だとする原則に基づいた、全体の改革だけが必要な変化をもたらすと確信している。これは、既存の投資協定の終了と新しい協定の署名の一時的延期から始めなければならない。

 

しかい、既存の制度内でも、仲裁業界の権限を後退させるのに役立つような手段がある。本報告書は、仲裁人の独立性と公正が保証される独立した透明性のある裁定団体への転換、利益相反に対して監視を行う厳しい規則の導入、訴訟費用の上限および当該業界による政府のロビー活動に関する透明性の増大を要求している。

 

こうした手段は、それ自体は、投資家と国の仲裁制度を変革するものではない。政府が投資仲裁からそっぽを向かないと、本制度は、ビック・ビジネスと非常に儲かる仲裁業界に有利になるように歪んだままになる。

 

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翻訳は順次アップしていきます。

 

 

山本太郎事務室




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