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2019年4月11日、筑摩書房より、
山本太郎(取材・構成=雨宮処凛)の書籍、新刊が発売します。

 

広報用国会前ちくま書籍2019.4.11

 

発売に先駆けて、まえがき部分を公開します。
是非ご覧ください。

 


 

まえがき

 

山本太郎

 

あなたが最近「死にたい」と思ったのはいつだろうか?
私は10分前だったかもしれない。
あなたはどうだろうか。

 

2017の自殺者は2万1321人。
この状況について、厚生労働省は平成30年版『自殺対策白書』の中で、
15歳から34歳までの若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国では日本のみであり、その死亡率も他の国と比べ高いものとなっている、と記している。

 

過去1年以内の自殺未遂経験者は、
推計53万5,000件にも及ぶ。(日本財団調査から)
この数字に含まれていない人々もいるとするなら、
どれくらいの死にたい人々がこの国に存在するのだろう。

 

この世は地獄、と言っても差し支えないだろう。
その地獄を軽減するために政治がある。

 

でも、政治が機能していなければ、地獄は深まる。
私たちは今、死にたくなるような国、社会で生きている。

 

先に述べた、私が死にたいと思ったのは、
10分前だったかもしれない、について。

 

いつから死にたくなったか。
思春期の時期に死にたいと考えて以降、
コンスタントに死にたいと考える時期はしばらくやってこなかった。
今の仕事(国会議員)について、死にたいという気持ちが現れるようになった。
その原因が何か、考えてみた。

 

ざっくりと私が死にたい理由を割合にすると、
仕事の大変さからくる死にたい気持ちが50%。

 

これはどの職業に就いていても、自分のキャパ以上のことをやる際には、
つきまとう現実逃避型のものだと思っている。
役者をやっているときにも、どんなに撮影の準備をしていても、
緊張に押しつぶされそうな瞬間に湧き上がってきたものと同じタイプだ。

 

残りの50%は、半分ずつに分かれる。
政治家になる前の自分が生きるに値したか、
を問うたときに死にたくなるのが25%。

 

政治に関わる前の自分はあまりにも無知で未熟だった。
自分の人生のことしか考えてこなかった。
その結果、悲惨な社会を作るお手伝いをしてきたという、
これまでの無関心な自分を振り返った時の死への願望だ。

 

社会に存在する問題の全てと繋がるのが政治。
世間知らずの自分がひとつずつ問題を知っていく過程で、
自分は生きていてもよい人間だったのか?、と死にたくなる。

 

例えば、DVの問題。
暴力を振るう行為がDVなのだろう、とフンワリ考えていたことが、
その問題についてレクチャーを受け知っていくと、
発言や態度までもDVに含まれることを理解する。
過去の自分を振り返るとき、機嫌の悪い時には、
語気が強まったり、不機嫌な態度をとったこともあった。
自分もDV加害者だったのでないかと気づかされる。
広い分野において少しずつ知るたびに、
過去の自分と向き合い、心をえぐられる思いになる。
世の中のことを知れば知るほど、過去の自分を振り返ると、
程度の差はあれ、加害の側の一部だったと死にたくなる。

 

残りの25%は、無力感。

 

数々の問題や生きづらさを知り、それを変えられるはずの場所にいながら、
ほとんど動かせない無力な自分を確認するたびに死にたくなる。
700人以上いる議員の半数を動かせなければ、物事は進まないのだから、
たかが一議員でできることは限られているのは当たり前だ。

 

でも苦しんでいる人々の声をじかに聞き、なんとかしたい気持ちと一歩も進まない現状の間で無力な自分に死にたくなる。

 

死にたい理由の50%。
その半分は、
ひどい現状を知った自分の痛みであり、
半分は政治の場にいながらそれを動かせない無力感。

 

そんなに死にたければ、さっさと逝ってください、
こちらには影響ありませんから。
そう思った方もいるだろう。

 

でも、「死ね」と言われると、生きたい気持ちが湧いてくる。
まだやり残したことがあるという意地がある。

 

死にたいと普通に考える社会を変えたいという思いがある。

 

あなたの税金で食わせている国会議員の一人が、
どのような6年を過ごしていたか、チェックしてください。

 

この本を読めば、私が「死にたい」と思った気持ちの半分くらいは
理解してもらえるかもしれない。

 

この6年間を、一緒に振り返っていただけませんか?

 


 

『僕にもできた! 国会議員』(山本太郎 取材・構成=雨宮処凛 筑摩書房)は、
2019年4月11日から全国の書店やネット書店で発売。
是非チェックしてみてください。




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