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○山本太郎君
自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、いわゆるTPP11についてお聞きしたいと思います。関連法案ですね。是非、中学生でも聞いて分かるようなやり取りができればと思います。ありがとうございます。

 

資料の①、TPP11において凍結された項目。これらは米国が離脱したことにより、凍結された項目です。

 

資料①

資料①

 

凍結されたのは全部で22。これらは基本的に米国に有利な項目で、他国にとっては不利になり得る項目でもあります。TPP11にはアメリカがいないんだから、凍結しても問題ないでしょうということで凍結が合意されたと。

ラインが引かれた部分、著作権等の保護期間の延長。つまり、著作物等の保護期間を原則著作者の死後50年から70年に延長する予定だった部分に関しても、TPP11において凍結項目になりました。凍結項目に対応する部分の国内法の制定は、TPP11参加のために必須ではありません。

 

資料の②、平成29年12月11日、TPP11の説明会。澁谷内閣官房TPP調整統括官の御発言が、ありがとうございます、資料にさせていただきました。分かりやすいんです。

 

資料②

資料②

 

今回凍結されたものについては、凍結されるので、適用されないということで、その義務はなくなるということになる。つまり、11か国がTPP11を発効するに当たって、この凍結された部分の義務を履行する必要がなくなるという趣旨になる。

したがって、著作権は50年にしなくてはいけないというのを決めたのではなく、70年に延ばすという義務が凍結されたと御理解いただきたい。

 

要するに、凍結されたので、今は国内法をいじる必要がないという御説明をされていると思うんですね。つまり、アメリカ様がカムバックするまでは別に50年のままでもいいわけですよね。

でも、今回、先回りして国内法を改正して、著作権の保護期間、50年から70年に変更しようとしていると。何でそんなことするんですかってことを聞きたいです。

 

○政府参考人(澁谷和久君)
引用していただいて、ありがとうございます。

著作権の保護期間の延長を含むTPP11協定において凍結されることとなった事項、まさに私がこう言っているのを御引用いただいたわけですけれども、我が国としてこの制度整備を行う国際的な義務は負わないという、おっしゃるとおりでございますが、我が国は、まず、TPP11協定の閣僚声明でありますように、11の協定交渉において、12協定のハイスタンダードな内容を維持するという立場で臨み、なるべく凍結項目は限定しようという、そういう趣旨で日本が主導してまとめたというのが一点目でございます。

 

2点目に、TPP11協定交渉を主導してきた我が国として、12のハイスタンダードを維持するという、そういう交渉中の立場を一貫して具体的に実践することにより、凍結項目の解除等を11か国で将来議論する際も、我が国が既に国内整備済みだということを背景に議論を主導しやすくなるという効果が期待されること。

 

3点目に、凍結項目については、まさに私が言っているとおりでございますけれども、義務はなくなったわけですけれども、するなということではないわけですので、各国の判断で実施することが可能だということでございます。

 

政府として、11協定の発効を機に、全ての凍結項目を含む12協定の内容について、我が国としては実施するという判断をしたところでございます。

 

○山本太郎君
大臣、これ、今すぐはやらなくてもいいんだけど先回りして先にやっておくよということに関しては、欧米の基準であったりとか、グローバルなルールに日本の国内法を近づけるということの理解でいいんですよね、今の御説明だったら、恐らく。そういうことって必要な、大切なことなんですかね、いかがでしょう。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
今、澁谷統括官の方から説明、答弁をさせていただきましたように、まず、今回、TPP11をまとめるに当たっては、ハイスタンダードなものにしたい、凍結項目はできるだけ絞り込みたいと、こういう日本側は主張をしてきたわけでありまして、そういった立場に沿っている。さらには、将来的にこの凍結を解除していくというときに、日本は既にこれは実施済みなんですと、70年にできていますと、こういう方が当然説得力もあるという形であります。

 

そして、委員、欧米の基準と、こういう形で御指摘をいただきましたが、グローバルな基準なんだと思います。いかに日本がグローバルな基準を作っていくことを主導するかということが今後重要になってくると私は考えております。

 

○山本太郎君
グローバルスタンダードを日本の国内法でやっていくんだと、先にその姿勢を示すということが大切だということでよろしいですか、いかがでしょう。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
そういう姿勢も大切であります。

同時に、先ほど来、日本の優れたコンテンツであったりとか、そういう議論も行われているところでありますが、著作権等の保護期間延長、そして長期間にわたりそこから収益が得られるということになりましたら、新たな創作活動であったりとか新たなアーティストの育成と、こういうものが進みまして、委員も芸術の世界にいらしたからよく御案内だと思いますけれど、文化の発展と、こういったものにも寄与することが期待されると、このように考えております。

 

○山本太郎君
ごめんなさい、何度もやり取りして申し訳ないんですけど、そのグローバルなハイスタンダードという部分を日本が引っ張っていくということが大切か大切じゃないかということを教えていただきたいんです。

 

これ、今回、国内法というものをそのままにしておく。凍結していたら、凍結になったんだからもう一回戻してもいいわけじゃないですか。そうじゃなくて、グローバルなハイスタンダードのルールを、日本の国内法をそのままにして、これは世界に対して引っ張っていくという姿勢を見せているんだと、こういう姿勢というのは大切だということでいいですか。

 

○委員長(柘植芳文君)
澁谷統括官。

 

○山本太郎君
違いますよ、大臣ですよ。御説明いただきましたから。

 

○委員長(柘植芳文君)
澁谷さんが先に答えてください。

 

○山本太郎君
いや、大切か大切じゃないかをお聞きしたいだけなんです。

澁谷さん、ここ答えるところじゃないんですよ。

 

はっきりと言っていただいていないから。グローバルなハイスタンダードなルールを日本が牽引していくということが必要だという理解でいいんですよねということで、それは大切なんですかということを聞いているんで、大切であれば大切であるということをお答えいただきたい。大臣。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
TPPを始めとした新しい共通のルールと、ハイスタンダードなルールと、こういうルール作りを日本が主導していくと、こういったことは極めて重要だと考えております。

 

○山本太郎君
よりによってどうしてこれなのかなという話なんですよ。

 

ハイスタンダードな、グローバルでハイスタンダードなルールを日本が率先してやっていくという姿勢、今まで余り見られてこなかったんですよ。

 

さんざんいろんな条約批准しておきながら国内法そのままでというよりも、世界中から非難されているのにグローバルでハイスタンダードなルールに置き換わっていないんですよ、日本の国内のルールが。

 

例えば、1979年に批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約、自由権規約、B規約について、2014年7月15日、16日にジュネーブの国連欧州本部が日本政府に対して、男女平等、ジェンダーに基づく暴力、ドメスティック・バイオレンス、性的指向及び性的認識に基づく差別、ヘイトスピーチ及び人種差別、死刑、慰安婦に対する性奴隷慣行、人身取引、強制労働被害者、技能実習制度、非自発的入院、代替収容制度、代用監獄及び自白強要、庇護申請者及び不法移住者の退去及び収容、ムスリムの監視、公共の福祉を理由とした基本的人権の制限、特定秘密保護法、福島原子力災害、体罰、先住民の権利、アイヌの人々、琉球、沖縄などの是正を勧告。

是正のために何かしら法改正されたものって何だろうって、強いて言えばヘイトスピーチの対策法と技能実習法くらいですかね。その問題の根本の解決を目指すような改善はしていない。結局は、勧告まで受けておりながら、そのまま手付かずなんですよ。

 

ILO、国際労働機関からは、1967年8月24日に批准した同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約に対して、同一の職務、職種、雇用管理区分を超える広い範囲での比較が一般的に行われていない、男女格差があると指摘を受けているが、国内法の改正、制定は行っておらず、同様に、1999年7月28日に批准した民間職業仲介事業所に関する条約に対して、派遣労働者の権利保障のための法的枠組みの必要性についても全然国内法で整備されていない、指摘されていますよ。完全無視ですよ。ハイスタンダード、グローバル、何の話ですかって。優先順位何か違うんじゃないですかって。

 

ほかにも、1979年に批准した経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、A規約について、高校教育授業無償化プログラムから除外されている朝鮮学校を適用すること、学校に通っていない多数の外国人児童も義務教育に適用すること、中等教育、中学、高校で入学か、教科書費も無償対象に入れること、過労死、過労自殺が発生し続けていることへの懸念。

 

社会権規約委員会が、2013年5月、日本に対しての総括所見で勧告。無視どころか、今、国会でも高度プロフェッショナル制度みたいな過労死促進法、労働環境の破壊し続けるようなものを生産し続けているじゃないですか。

 

今私が読み上げたようなものに関しては、アップデートする必要ないんですか。

ハイスタンダードでグローバルなルールを日本が牽引するような形、牽引どころか置いていかれていますけれども、このようなものも当然アップデートしていく必要があるというふうに大臣は御認識されているということでよろしいでしょうか。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
様々な国際条約があります。世界の190数か国で全ての条約を批准している国というのは私はないと思います、私の記憶が確かであれば。そうすると、それぞれの国が置かれている国内状況等々に従いながら、国際約束、国際的なルールと、これに対応していくという形でありまして、個別の問題、個別の課題について、それはアメリカの場合もフランスの場合も日本の場合も、条約に入っていないと、こういう状況は生まれるんだと思います。

個別具体的な条約に対する日本の対応につきましては、担当府省の方にお尋ねいただければと思います。

 

○山本太郎君
批准しているものに関しても、どうなってんの、これって、批准しているよね、おたくらって、全然それが是正されていないんだけど、ちょっと変えた方がいいんじゃないのという話をされているわけですよ。

数々の事柄を勧告されてまでもアップデートどころか長期間放置しっ放し。

 

なぜ著作権の保護期間だけは凍結されているにもかかわらず、元に戻さないんですかって話なんですよ、優先順位よく分かんないなって。

 

多分なんですけれども、これ、もっと別の事情がある。というのは、やっぱり環太平洋でもっとビジネスしやすくしようよというような元々のものがありますよね。もっと自由貿易やっていこうよという元のものがあるから、恐らくこの著作権に関しては、この将来性ということも含んでビジネスチャンスがあるから、ここに関してはまずやろうと。この70年を50年に戻すんじゃなくて、そのまま置いておこうという感じなんですかね、ビジネスチャンスという部分も大きいんですか。いかがでしょうか。大臣。

 

○政府参考人(永山裕二君)
今回TPP11の締結に当たりまして、著作権の保護期間については、凍結されているものを日本として率先してといいますか、保護期間の延長をするという判断をしたのはTPP本部、これ政府全体の立場として、全ての凍結項目について実施するという判断があって、それを踏まえて政府として決定したものでございます。

 

当然、文化政策、著作物の振興という観点からも、保護期間が延長されれば、当然それが次の創作活動につながったり、次の創作者の育成につながったり、また中長期的に見れば、外国から漫画とかアニメの、漫画とか音楽、日本の競争力のあるコンテンツが海外に浸透することによって中長期的には収入が増えていくという様々なメリットがあるというふうに考えております。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。

 

今お答えいただいた方のお答えを受けて、大臣、やはりそういう中長期的な部分を見たとしても、日本は凍結されているけれども、70年のままでいいじゃないかと。

もう一回50年に戻してというよりも、このままでいて世界にその姿勢を示そうと。これ、中長期的なそのビジネスチャンスという部分につながるというビジョンがおありだからそうなったんですかね、いかがでしょうか、大臣。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
先ほども答弁申し上げましたが、単にビジネス的な観点だけではなくて、先生もその世界にいられたから御存じのようにということを申し上げた上で、文化の振興にも寄与するということを明確に私は申し上げさせていただいたと思います。

 

さらには、この著作権の延長と凍結につきまして、全体的にはハイスタンダードを維持しながらバランスを取るという観点から、凍結項目22項目設けたわけでありますが、日本としてはできるだけこの凍結も少なくしたいと。しかし、そこの中で早期に十一か国の合意を取りたいという観点から、様々な利害、調整をして取りまとめたものであります。そういった日本の立場、さらには今後この凍結を解除すると、将来的にそういう場面において、日本は既にこういった措置を国内的にもとっているんだと言った方が当然説得力があるわけですから、そういった観点も含めて、今回のような対応を取らさせていただいているということであります。

 

○山本太郎君
だって、そもそも凍結ってアメリカ待ちの凍結なわけでしょう。アメリカがいないんだから、そこ凍結しようという話になっているわけで、それを示すも何も、アメリカが帰ってきたら凍結が解除されるというだけの話なんじゃないですか。日本がそのままやっているからどうぞという、その姿勢を見せるという話ではないと思うんですけれどもね、TPP11の中では。

 

でも、先ほど御答弁、その前に御答弁いただいた方が、その中長期的に見たらビジネス的にすごく将来性がある部分も考えられるだろうというお話をされたんですけれども、では、この著作権、50年から70年になるに当たって、改正するに当たって、どのように利益が出るのかという部分を試算されましたか。

 

○政府参考人(永山裕二君)
お答え申し上げます。

著作物は、いわゆる動産とか不動産の有体財産とは異なり、無体財産でございます。また、その種類は様々なものがございます。さらに、著作権というものは、無方式主義と言っていますが、登録を要することなく発生するものであることから、市場において利用されている著作物を把握した上でそれが保護期間の延長によりどのような影響を受けるのかを定量的に試算することは困難であるため、試算は実際には行っておりません。

 

なお、政府のクールジャパン政策等におきましては、アニメ、漫画などの著作物を利用したビジネス、我が国の重要な輸出産業と位置付けられておりまして、特に我が国のコンテンツの国際的な競争力が高い分野を中心に長期的にわたり人気コンテンツが利用されることで、中長期的には、先ほど申し上げましたが、著作権料収入の増加につながるものと期待しております。

 

以上でございます。

 

○山本太郎君
つながると期待しているといったって、だって試算もしていないんでしょう。

日本の漫画が、アニメが人気だからという理由ですか。何か全然説得力ないんですけど、それで50年から70年にされているという理由になるのかちょっと不思議だなと思うんですよね。

 

だって試算もしていないんだから。

 

著作物は無体財産であり定量的に試算することは困難と言いながら、これはまた別の部分ですけれども、ほかの部分で見れる部分があると。資料の③、日銀国際収支統計、ここ五年の著作権等使用料は毎年年間8千億円もの巨額赤字で、その大半は対米赤字であるということは皆さん御存じのとおりです。当然ですよね。アメリカは著作権分野だけで年間10兆円強という驚異的な外貨を稼いでいる、世界を席巻するコンテンツ、IT系企業がほぼ米国勢で寡占されているということは有名なお話。

 

資料③

資料③

 

例えば、身近なところで、ほとんどのパソコンに入っていますマイクロソフトのウィンドウズ、ワードやパワーポイント、エクセルなどのオフィスソフト、iPhone、スマホのOSであるアンドロイド、ほかにもフェイスブック、ツイッター、インターネット検索サービスならグーグル、ヤフーなどがあり、そのほかにも多くの米大手企業やベンチャー企業がIoTや人工知能関連の新しい技術をどんどんどんどん世の中に登場させており、どう考えても日本はこの分野で黒字化することは至難の業としか言いようがないんじゃないですか。

 

アニメや漫画を売り出していけば日本の著作権ビジネスが潤うとも聞きます、というか政府側からね。圧倒的なアメリカからのコンテンツ輸入額から比べれば、圧倒的に小さな額じゃないですか。

著作権の期間が20年延びればそれだけ国際収支の赤字額は大幅に増えること間違いないんじゃないですか。

 

誰が一番もうけられるかといったら、だってそのほとんどアメリカのじゃないかという話なんですよ。誰をおもんぱかったんだという話なんですよ。凍結無視、凍結されているんだからもう一回戻せばいいやんという話なんですよ。

 

20年延ばすことによって特に得する人たちがいるんだろうという話なんですよ。

いかなる国とも国益に反するような合意は行うつもりはないということは、我が国としては、攻めるべきには攻め、守るべきは守り、最善の結果を追求していくとの意味であり、この方針に変わりはないと本会議でも言われていました、総理がね。

だけど何か信憑性ないんですよ。だって、どれぐらいもうかるかも試算されていないし、普通戻すだろうって、凍結されているんだよって。

 

資料の④、著作権の延長が凍結になり、ニュージーランドが出した声明。

 

資料④

資料④

 

直訳で申し訳ないです、読みます。

「ニュージーランドは著作権の保護期間を50年から70年に延長する必要がなくなります。映画や録音、録音された音楽を含むの著作権は、刊行された年の終わりから50年後に失効します。書籍、脚本、音楽、歌詞、芸術作品の著作権は、作者が死亡した暦年の終わりから50年後に失効します。ニュージーランドの消費者にとって、この延長の長期的な費用は年間5千5百万ドルと推定されていました」

 

これは、元のTPP協定の国益分析における主要な定量化可能な費用の一つでした。これがニュージーランドが出した声明なんですって。

著作物は無体財産であり定量的に試算することは困難と言う日本とは大違い。

延長されなかったから5千5百万ドル浮きましたよ、そう声明出されているわけですよね。

国益を損なうような交渉をしないためにも国益分析は当然きっちりと行っているんだという話なんですよ。日本はお経(きょう)のように国益に反する交渉は行っていないと繰り返すが、行っていなかったのは国益に反する交渉ではなく著作権延長に関する試算の方でしたねという話なんです。

 

TPPに米国が入らなかったのは内容に不満があったからですよね。アメリカ様に入っていただくためには普通に考えて当然再交渉あるでしょうって。TPPに戻ってきてくださいとのお願いがアメリカに届かない場合には、当然先々日米FTAだったりとかという交渉も安倍政権でもあり得るかもしれない。今日、先生方が皆さん御懸念されていましたよね。

 

著作権、50年から70年というカード、交渉のためのカード、そのためにも置いておくというのが国益を守るための姿勢ではないんですかって。凍結なのにわざわざ今回関連法案として、凍結なのにわざわざ、一回戻せるのに戻さない。交渉カードを何の交換もなく差し上げたまんまにするという話なんですよ。

 

これ、おかしくないですかって。グローバル、ハイスタンダートということのためだけにこのカードを手放したまんまにするんですかって。

 

著作権50年から70年を凍結させずに70年のままにしておくんだという判断、これ、考えたの誰なんですか。総理ですかね。それとも大臣ですか。それともほかの人なんですかね。これを発案された方、御存じだったら、大臣、教えていただきたいんですよ、お名前を、その方の。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
政府全体としてそのような判断をさせていただいたものであります。

 

そして、なぜそのような判断をしたかにつきましては、先ほども答弁を申し上げたとおりでありますが、国内の政策、これをどのような形で進めていくか、まさに国益に沿って進めるものでありまして、何らかの外交交渉のカードに使う、これを基本にして政策というものは決められるべきではない、これが国際社会の常識だと考えております。

 

○山本太郎君
あれ、ぎりぎりのところで交渉していたとか、タフネゴシエーターとかと言われる人、いなかったですか。何か御病気になられる前までは、TPPの特別委員会にはほとんど出てこなかった方ですよね。交渉があるから交渉行ったんでしょう。言われていたじゃないですか、ダナンに行かれたとかサンティアゴに行かれたとかという話もされていたじゃないですか。

 

大臣はね、違いますよ、ごめんなさい、甘利(明)さんの話です、今の前段は、申し訳ございません……(発言する者あり)いや、駄目ですか、今までの、だって歴代の方々いらっしゃるわけじゃないですか。その方々がやられてきたことは交渉なんですよね。

 

国内のことを交渉の場でカードとして持ち出すというのは、まずいんですか、だって。だって、関税、非関税障壁に関して、これ世界の国々と、環太平洋の中でこれハードル下げていこうという話なわけでしょう。だったら、交渉するに決まっているじゃないですか。普通の話でしょう、それ。

 

近時の国家間交渉においては、単一イシューの条約よりも複数イシューの通商条約が選ばれやすいと。その理由は、例えば、途上国に薬などの知的財産権を保護する内容を認めさせる代わりに先進国が農業の市場アクセスの拡大を認めるなど、こちらにはそれほど重要ではないかもしれないけれども相手の欲する項目を譲歩し、差し出し、こちら側の最重要項目を得るという交渉をすると。だって、その方が妥結しやすいやんという話なんですよね。

 

にもかかわらず、自ら著作権延長カードを交渉前に手放す。日米FTAなどにおいて、農業分野等での更なる譲歩を迫られることになるのは明らかじゃないかって。当然、これ同じように手放したのは、セーフガードもありますけど、何もやっていないじゃないかという話になるんですよ。

 

交渉のカードを自ら手放すって、どういう話なんだということですよ。この決定をした人間、そのセンスを疑う、そう言うしかないんですよ。だから、どなたですかって聞いたら、政府全体で決めたって、一斉ので言うたんですか、じゃ。誰か発端がいる、あるはずじゃないですか、この人がそこの部分を引っ張っていたという。大臣、教えてくださいよ、その人の名前を。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
政府全体としてそのような決定をさせていただいたところであります。

 

もちろん、累次答弁をさせていただきましたように、TPP11におきましても、それぞれの参加国、様々な利害というものがあるわけでありまして、その利害を調整した上で難しい交渉をまとめて、3月8日、チリのサンティアゴにおきまして合意に至ったという形でありますが、私が申し上げたのは、国内の政策を進める、正しいと思う政策を進めるということと、必ずしも、外交交渉で全てカードに使うということは違うということを申し上げたわけでありまして、国内政策でしっかりいいことをやっていくということを、国内政策上はいいことなんだけど、日本の発展にはつながるけど、交渉があるから何にもしない、こういう姿勢は恐らくどの国も取らないだろうということであります。

 

○山本太郎君
ちょっと言っていることがよく分からないですよ。だって、凍結になったんでしょうって、凍結になったんじゃないですか。

ということは、70年を50年に戻してもいいんですよ。

だって、これ、アメリカからしたら有り難いカードですよ、50年から70年にということは。戻せばいいやんという話なんですよ、交渉カードの一枚になるやんって。それもなく、手放しであげるということが、一体誰の代理人なんだという話になっていくんですよ。意図的に別の国の国益を優先したとしか思えないような様々なことがあるじゃないですか。著作権だけじゃなくて、セーフガードの話もそうだし。

 

加盟予定国以外で、TPPに参加したいとの希望があれば、太平洋以外の地域や国からの希望があれば対応可能ですかということを事前にお聞きしたんですよね、省庁に。そうしたら、今日もいろんなお話がありましたけれども、コロンビアだったりとかイギリスだったりとかタイだったりとかというところから興味を持たれているというお話なので、歓迎したいというお話なんですよね。

 

で、TPPの中で、私、懸念するのがISDS条項なんですよ。当然ですよね。WTOでの紛争解決はパネルだと国対国なんだという話なんですけど、これ違うじゃないですか、ISDSは。投資家が国を訴えられるんだからという話ですよ。

 

この後もいろんな、例えば南米エクアドルで石油開発事業を行ったアメリカ企業のシェブロンの子会社が大規模な環境汚染を起こしたのに、地元で裁判所が損害賠償をという話になったのに、これをISDSで訴えられて、仲裁廷に持っていかれて逆転されちゃったという話もある。

 

その国に生きている人たちの憲法上の権利であったりとか、被害を被ったという民法上の当然の権利までも覆されるのがISDSだという話を本当はもっと詳しくしたかったんですけど、やり取りが、ごめんなさい、スムーズにいかなかったので、先に行きますね。

 

このISDS、当然、凍結の項目には入っていますが、恐らくこの先、アメリカが帰ってきたら、またISDS復活ですよね。これ、日本は訴えられないということをずっと言われていたんですよ。日本はISDSで訴えられづらいって、考えづらいって言われていたんです。どうしてですかと言ったら、今まで一回も訴えられたことがないからというのがTPPの特別委員会、数年前の特別委員会でずっとお話しだったんですよね。でも、そうじゃないだろうと。

 

日本は投資側だから、相手国に入って投資をする側だったから、今までISDSを結んでいたようないろんな途上国みたいなところが日本側に入ってきて投資をするということはないだろう、なかなかという話だったんですよ。

 

でも、今回、TPPになってから違うでしょと。例えばPFIとかどうですか。海外企業、日本に入ってきますよ。そのときに何か投資側から言われる可能性もあるわけじゃないですか。しかも、そのPFIに関してというよりも、このTPPの枠組み、もっと広げたい、歓迎したいという話になっているわけですから。

 

でね、先日、梶山(弘志・地方創生担当)大臣と、PFI、本委員会のPFIの審議でちょっとお話をさせていただいたんですよ。

 

で、結局、地元優先でできるという話をされていたんです。でも、最後に言われた言葉があるということなんです。要は、WTOにおける基準額という話ですね、その話をなさった。TPPと同じ額ですよね。

 

例えば政府調達、15章ですよね。このTPPで、TPPもWTOも同じぐらいの値段、中央政府で7億円ぐらいですか、地方政府で20億円ちょっと超えるぐらいですか、その額を超えたら、WTOだったりとか、恐らくTPPであったりとかというもののルールの中で守られるよという話なんですけど、PFIの中身いろいろ見ていくと、過去事例、2000年から、2000年から見ていくと、その中身のほとんどがその基準額を超えるような大型のPFI事業だらけなんですよ。ということは、海外資本どんどん入ってこれるねという話なんですね。これ、非常にやばい話なんですよ。

 

で、どうしようかな、先日のやつでもちょっとお話ししたんですけれども、資料を順番に見ていただけたら分かると思います。

例えば、資料の⑥、TPP第15章、政府調達の附属AのG章、この章が日本のPFI法に基づく事業にも適用される規定ですよね。

 

資料⑥

資料⑥

 

資料の⑧、都道府県、政令指定都市がロックオンされると。

 

資料⑧

資料⑧

 

資料の⑨、そうですね、内国民待遇(ないこくみんたいぐう)、差別はできない。

 

資料⑨

資料⑨

 

資料の⑩、そうですね、内国民待遇の規定があり、これはTPP9章ですよね、内国民待遇という部分と合致するという部分で、15章違反は9章違反にもなり得るという話なんですよ。

 

資料⑩

資料⑩

 

これ、かなり世界中からもISDSって避けられていて、今回のTPP11でも、各国がサイドレターでTPP使わないようにしようぜということは、もうカナダでもニュージーランドでも、その辺の周辺の国家といろいろ約束事を結んでいるんですよね。

 

恐らくヨーロッパの協定(注:日欧EPA)に関しても、ISDSということで、投資の章が結べない状態になっていると思うんですけど、これ、ISDSにこだわる理由というのは何なのかということを知りたいんですよ。

 

21世紀型のルールを目指すという話なんですけど、今やもう、ISDSのやり方が時代遅れの状況に入ってきちゃっていると思うんですね。ハイスタンダード、グローバルというところからは外れて、最先端ではなく、今やヨーロッパが提唱しているようなICSのような枠組み、違う、常設の裁判所、で、一回だけで終わるんじゃなくてもう一回控訴できる裁判所も常設しようじゃないかという方向に今変わってきているじゃないですか。

 

大臣、日本のISDSというものの考え方を、ヨーロッパの方向、ヨーロッパが考えているような、今もう二国間ですけど動いていますよね、ヨーロッパでは、こういう形に変更していくというか、変わっていくという可能性はあるんですかね。

 

○国務大臣(茂木敏充君)
TPP11に盛り込まれましたISDS、これまでの経済連携協定や投資協定のISDSの制度と同様に、投資受入れ国の政府に我が国投資家の利益を不当に侵害させないという現実的な効力及び抑止効果を持つものであると理解いたしております。

一方、日本にも当然投資というのは入ってくるわけでありますが、投資受入れ国が公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることは妨げられないことと、こういうふうになっておりまして、我が国として適切な対応を取っていると考えております。

 

○山本太郎君
済みません、一人で焦っていたのは終わり時間を5分見誤っていたんですよね。済みません、もうちょっとちゃんとゆっくりやればよかった。ありがとうございます。もう少し茂木大臣とゆっくりお話しできそうです。ありがとうございます。

 

ISDSもちゃんと使われているんだよという部分をお話しいただいたと思うんですけれども、でも、そういう使い方がなされていないといいますか、どちらかというと投資家村というか仲裁村みたいなものがもう既にでき上がってしまっていて、金額が高い案件になっていくと集中的にその裁定に関わる人間が決まってくるというような調べもいろいろされているんですよね、いろんなシンクタンクから。

 

世界中が何を言っても、資料の⑬なんかを見ていただくと、またニュージーランドの政府プレスリリースになるんですけど、皆さん御存じのとおり、5つの国、ブルネイ、マレーシア、オーストラリア、ペルー、ベトナムとISDSを互いに排除する旨のサイドレターを交わしていると発表していると。

 

資料⑬

資料⑬

 

つまり、ニュージー、ペルー、ベトナム、オーストラリア、ブルネイ、マレーシアの間では、TPPに加盟していてもISDS使わんとこうなという話なんですよ。ほかにも、資料の⑭、カナダ政府のプレスリリース。カナダ、チリ及びニュージーランドは共同宣言を発表したと。ISDS条項について、責任ある形で利用すること、国家による領域内での正当な公的政策の権利を再確認することなどをこれ約束していると。かなり皆さん、ISDSに対して、これやばいぞという感じになっているということなんですね。

 

資料⑭

資料⑭

 

だけど、こういう例えば、何ですかね、サイドレターであったりとかという部分に関しては声掛かったんですかね、日本に、一緒にやらないかとかということを。短めに教えてもらえますか、時間がないので。ありがとうございます。

 

○政府参考人(澁谷和久君)
TPP12交渉のときから我が国はISDS推進派でありまして、そういう立場は各国に非常によく知られていたと。それから、12のときも豪州とニュージーランドで同じようなサイドレターを結んでいるわけでありますが、いつだったか、首席交渉官が集まった雑談の場で、これは私自身が言ったのでよく覚えているんですが、民間企業が提訴できるというその権利を国際協定で認めているのに、国同士でサイドレターを結んでやめようねというのはどういう意味があるんだ、効果ないじゃないかということを私が問いかけたところ、全く返事がなかったということもありましたので、恐らく声が掛からなかったんじゃないかというふうに考えております。

 

○山本太郎君
ISDSに対して打つ手なしだという話なんですよね、恐らく、そういう話になっていくと。そういう話にならないですか、だって。

投資側から訴えられることを、国同士で約束してどうやって止めるんだという話ですよね。澁谷さんが直接聞かれた言葉なんでしょう。

ISDSは投資側から訴えられちゃったらもうどうしようもないんだろう、意味なくないかという話をしたということですよね。でも、お互いの気持ちを確認したということではすごく大きい話ですよね。

 

これだけ多くの国がISDSに対して非常に危機感を覚えているということに関して、当然21世紀型のルールをとかという話になっていて、ハイスタンダードでグローバルでと言っているんだったら、これISDSの在り方、超推進国に対して、超推進国の政府に対してやめてくれという話も変ですけど、なかなか聞き入れられないでしょうけど、世界とやはり周回遅れみたいな状況でそれを牽引し続けるのは非常に危険じゃないかと思うんですね。

 

最後に、資料の⑯、EUの提案しているICS、その特徴という中身を皆さんそれぞれまた見ていただきたいんですね。

 

資料⑯

資料⑯

 

どういうことかというと、先ほど言いました、カナダやベトナムとのFTAでは、EUはISDS条項に代わる紛争解決方法として常設の投資裁判所を設置することを合意したんだよということなんですよね。一回勝負じゃないんだということなんですよ。もう一回控訴できる、それも常設の裁判所があるという、そういうセーフティーネットですよね。今のままだったら、ちょっと戦々恐々となる状況であるからこそ、国同士はレターを交換し合っているという状態。

 

このISDSがある限り、だって、皆さん、さんざん言っていたじゃないですか、ISDSについて。国家主権奪われるとか、野党時代言われていたじゃないですか。だから、TPP駄目なんだということにISDSをまず声高に挙げていたじゃないですか。

 

残念、今日読み上げるつもりでたくさん用意してきたのに……

 

○委員長(柘植芳文君)
時間が過ぎておりますので。

 

○山本太郎君
分かりました。次回に譲りたいと思います。

ありがとうございます。




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